飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛



「どうしたの?フェイタン」

昨日帰ってきたフェイタンは結局私を咎めはしたもののこの前の様には怒ってはいなかったが今日は朝から本も読まずに何か悩んでいるみたいだった。

「次は1週間くらい帰てこれないね」

「うん?大丈夫だよ」

私がそう言うとフェイタンはキッと睨んでくる。一人で留守番くらい出来るという意味で言ったが全く信用がないみたいでちょっと悲しくなる。

「またく安心できないよ。一人にするとろくな事ないね」

最近フェイタンの過保護さが酷くなってる気がする。まぁ、自業自得な部分もあるんだけど。大抵相手が強過ぎて自分じゃどうにもできない事もあるから、出来るなら対抗できる強さが欲しいけど、フェイタンの知り合いはどいつもこいつも常人離れした強さでそれに対抗できる強さっていつ手に入れれるのだろうか。

「外に出れないのは辛いか?」

「えっ?」

フェイタンの質問は意外なものだった。今までフェイタンと一緒にしか外に出た事がなかったし、今回だって絶対に外に出るなと煩かった。きっとフェイタンは私が一人で出かける事を嫌がっていると思うし、私を閉じ込めている事に対して何も思ってはいないと思っていた。私も別にフェイタンに閉じ込められている事に不服はないから。

「別に辛くないよ。ご飯は食べたいけど」

「出たいと思わないか?」

そう聞かれると出たいのは出たい。フェイタンが居る時はあまり思わないけど、一人でいると暇で仕方なくて外に出たいなと思う事はあるし。ただ、それでフェイタンが嫌な思いをするくらいなら出たいとは思わない。

「思わない事はないけどフェイタンが帰ってきたら連れてってくれたらそれで良いよ」

そう言うとフェイタンはまた何か考え始めて、私を自分の膝の上に乗せて後ろから抱きしめてくる。意地悪なフェイタンも好きだが、こうして甘く優しくたまに甘えてくるフェイタンが凄く愛おしい。今の関係に特に名前は無くともフェイタンが私に執着してくれている事が幸せだ。

「酷いことばかりしてると逃げられるてシャルが言てたね」

「何それ、勝手に逃げるとか決め付けないで欲しいんですけど」

そんな事を吹き込んだシャルに対してかはたまたそんな事を信じてか私に言ってくるフェイタンに対してかわからないが少しイラっとして、不貞腐れる。それでも少し心配そうなフェイタンがちょっと可愛く見えて和む。初めは拷問してくるフェイタンにドキッとして、恐怖と支配される事に心を奪われた。だけど、今は優しいフェイタンも甘えてくっ付いてくるフェイタンにもキュンキュンして、愛おしく感じる。

「大丈夫だよ。全部私はフェイタンの物だから、フェイタンがいらなくなって手離さないでいてくれる限りフェイタンの側にいるから」

甘えるフェイタンは、いつも私がいなくなる事を心配している。そんな事はないと言っても何時もどこか不安そうだ。フィンクスやシャルが人に興味を持つなんて珍しいと言っていた事からフェイタンはきっと今まで人に執着した事なんて無かったのだろう。ものと違って自分で意思を持っている人間はいくら執着していても気持ちが無ければ一緒には居れないと言う事をフェイタンも分かっていて心配になっているのだろう。

「逃げたら、もうあの部屋から出さないね」

「いいよ」

前に言ったでしょ、フェイタンが望むならあの部屋にずっといても良いってと言って笑ったら、フェイタンがそうだだねっと私の髪を撫でながら笑った。

「出掛けてもいいよ、その代わり、電話は直ぐにとるね」

「別に出掛けられなくても平気だよ?」

どういう気持ちの変化なのかフェイタンは出掛けてもいいと言ったが逆に私はその言葉に不安になってしまうのだから困ったものだ。

「不便な事もあるね、一人で帰らそうにも外に出た事ないとそれこそ心配ね」

確かに今の私はフェイタンがいないと文字もわからないので電車や飛行機にも乗れないし、買い物も危うい。そんな私にフェイタンは一冊の本を渡してきた。

可愛いらしい表紙のその本は小学生が読むような文字の練習用の本だった。

「先にこれ覚えるよ、置き手紙も読めないと困るね」




prev next

bkm
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -