飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


フェイタンside

リノンに念を教えた翌日、ふとリノンの事を考えた。
今まで女も男も関係なく拷問で興奮する自分はあまり女を抱こうなんて思わなかったのに、リノンの顔を見ると興奮する自分がいるのがわかった。羞恥心に苛まれる顔も痛みに歪む顔も快感に火照る顔もすべてが彼女を貪りたいと自分を掻きたてた。

そして、拷問の時の様に我慢していた声が快感によって追い詰められ耐えかねて絶叫したあの声も全て自分が与えたものだという満足感に今まで拷問で相手を屈服させた時よりも加虐欲が満たされた気がした。

本当は、リノンが生き返った後、もう一度殺した瞬間に喪失感を感じてこんなに自分の感情を翻弄するリノンを捨ててしまおうかと思った。
拷問でリノンを苦しめるのは最高に興奮して楽しいが、弱って死んでいく様は何度見ても美しくも儚く自分の心に棘を落としていく。
もう止めようと思っていてもリノンを前にするとどうにも我慢できなくなってしまい。自分で自分を制御出来なくなることに苛立たしさを感じるのにもかかわらずそれでも手放せなかった。

「やかいな奴ね」

リノンが起きてくる前の部屋でそう呟いたフェイタンはコーヒーを片手にシャルから送られてきた写真を見ていた。リノンを初めて殺す前にシャルに依頼したリノンの情報だが、あれから彼女と同じ名前の人物写真が送られてくるが一枚もかすりもしない。
今回の写真と共にシャルから送られてきたメールにはこれ以上リノンと同じ名前の人物はハンターライセンスを使用しても見つからないという事だった。要するに戸籍もなければ目立った経歴もないということだ。

っということは、流星街で生まれた自分たちと同じように孤児で身元の引受人もいなかったという事だが、何か引っかかる。リノンは会社員と言っていた。戸籍がないのにもかかわらず、普通に会社で働いていたという事、そしてもしそうだとしたら戸籍が無くてもハンターライセンスで調べれば働いていた会社から何かしらの情報は出てきてもいいものだ。

―ヴゥーヴゥーピッ

「なんね」

「この前のリノンって何者なの?ちょっとあっちも調べたけどあっちは一人も該当しなかったんだけど」

シャルの言っているあっちとは流星街のことだろう。まぁ、そこにいないのはおおよそ検討が付いていた。意外に人口密度の高い流星街ではあるが、今まで名前も顔も見たことも聞いたこともなかったし、彼女の言動や元々の弱さから流星街で育った可能性は低いと思っていたからだ。

「知らなくていいね」

「気になること依頼しといて酷くない?まぁ、いいや、それより次の仕事で必要なんだけど、写真と場所送るからそいつから今回の仕事の情報引き出しといてくれない?」

シャルはそう言ってフェイタンに頼んでくるが、仕事なのだから無理だという事は絶対にないのだから聞いてこなくてもいいだろ。フェイタンはわかたねっと答えて電話を切った。

フェイタンは考えたところでわからないものは仕方ないっと疲れた思考を癒すように何時ものように本を開いた。
いくら考えてもリノンの何もわからないのだから考えても仕方ない。頭が痛くなるだけだ。





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