飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


―ガチャッ

あれから二人とも無言のまま家についた。なんだか凄く疲れてしまっていたようで、家についた安心感かどっと疲労感が襲う。まだ、1ヶ月ほどしか経ってないし、あの部屋から出て7日くらいしか経っていないがなんだかんだで私はここを帰る場所だと思っているという事だ。

だが、フェイタンが玄関で止まったまま中に入らない。どうしたのだろうかと思ったがとりあえず私も玄関に上がり、扉を閉めた。

―ガンッ

「カハッぁ」

一瞬のことに後頭部が痛むことしか理解できなかったが、苦しさに自分が首を持たれて宙に浮いていることに気付く。久しぶりの痛みと苦しさにあの頃は感覚が鈍っていたのだと思った。器官も痛ければ首の骨が折れてしまいそうなくらい自分の体重全てが首にかかっていて怖くなって首を掴んでいるフェイタンの手を握って必死に身体を支えようとすると身体が一瞬揺れて左半身が床に打ち付けられた。

「、、、くっ」

主に痛む肩を抱きながら体を丸めると、

「なに寝てるね、来るよ」

っと言って私の髪を鷲掴みにしてリビングを通り何時もの部屋に向かっていく。私は何かフェイタンを怒らせるような事をしただろうかと思い、さっきフェイタンに不躾に質問をしてそしてフェイタンの職業が盗賊だと知った。聞いちゃいけない事だったから殺す気だろうか。と思ったがよく考えれば自分は死なないのだからそんな事をしても無駄だし、私が死なないことくらいわかっているだろうから初めから言わなければいいだけで。。。

部屋に入るとフェイタンは私の髪を離して放置した。私が動かないこともお構いなしにフェイタンは部屋の壁に置かれている拷問器具をガチャガチャと選び始まる。自分は何をしてしまったのだろうかと後悔の気持ちに苛まれているとガタンッと大きな音がして顔を上げた。

「そんなところに寝てるならこちに寝るよ」

フェイタンはそう言ってまた私の髪を掴んで先程大きな音がした現況の台に私を乗せる。

「ぁっ、、、」

フェイタンを見ても今迄みたいに苛立った様子や楽しそうに笑っているわけでもなく無表情でそれが余計に怖くもあり、悲しくもある。何を考えているのか全然わからず。とくに拘束されているわけではないが私は逃げることも抵抗することもなく、ただフェイタンに寝かされた台の上でじっとする。何がなんだかわからず、フェイタンの方を見るとまたガチャガチャと器具を触っている背中だけ見えたと同時に自分の目から涙が伝ったのがわかった。

―私はフェイタンの何なのだろう

そう、これからされる事に対しての恐怖がこうして私を不安にさせているわけではない、今までフェイタンは腹が立ったり楽しくて私に拷問をしているのだという理由が私にはわかっていた。私は彼を全て理解して受け入れていると何処かで思っていたのかもしれない。それが、今は全く分からないのだ。

「フェイタン」

思わず名前を呼んでしまったが、フェイタンは反応することもなかった。そして、準備ができたのか、フェイタンはいくつかの器具と機械を持って私の寝ている台にそれを置いた。と同時に私を見た。

その瞬間、

「なんのつもりね、泣いたところで何も変わらないよ」

そう言いながら眉に皺を寄せて私を睨んだ。わかっている。わかっているけど止められないものは仕方ないし、それに泣きたくて泣いてるわけじゃないんだよ。大体泣いてるのはフェイタンのせいだしとグルグルと気分が悪くなる。

「大体、離れたら殺すいたね、それに!」

ビクッと体が反射でひくついた。ビックリしたフェイタンがこんなに声を荒げたのは初めてだった。今まで苛立っていても大きな声も上げず血を這うような声音で言い返すこともできないような意地悪な言い方をしてくるのに。。

「抵抗しなかたね」

「え?」

「フィンクスに肩を抱かれても抵抗しなかたね」

意外な言葉だった。フィンクスに肩を抱かれたとき離れようとしたがなかなか力が強くて離れられなかったがゆえに大人しくしていたがそれが気に入らなかったという事か。フィンクスに私が肩を抱かれているのが気に食わなかったという事か。
ってことはそれは嫉妬?っという事まで理解して、とてつもない幸福を感じる。つまりは、私がほかの男性と仲良くするのをよく思わなかったという事でしょっと嬉しすぎてフェイタンに言われたことに返答するのを忘れていた。

「お前は私の物よ」


―あぁ、なんて素敵な響きなんだろ

私の不安なんてちっぽけなものになるくらい彼のその言葉は私からすべてを奪っていく。私は彼の物だから、だから、私のこの不安も全て彼が与えたものそう思うと凄く愛しい感情のように思えた。


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