飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


何かしたい。何もしたくない。変わりたい。何をすればいいかわからない。
ベッドに寝転びながらグダグダと何の生産性もない考えがグルグルと回る。
堂々巡りの毎日に嫌気がさして、少し刺激的なことでもしてみるかと、
携帯を開き一種の出会い系サイトを眺める。

―どの書き込み見てもただしたいだけか。

まぁ、出会い系なのだからセックスが目的なのは当たり前だけど。
だけどもこうもあからさまだと反吐が出そうだ。
先に否定しておくが、今まで出会い系で誰彼構わずセックスしてきたわけでもなければ、
経験豊富でもない。一応彼氏は2人ほどいたことはあるが、
経験は片手で数えられるほどだから。

ただ、人とは少し違う性癖があり、普通に生活していても出会えないだろうと思い、
たまに同じような人はいないのだろうかと探してしまうのだ。

はぁーっとため息をついて携帯をベッドに投げやって起き上がる。
やることはないがとりあえずシャワーを浴びて着替えることにしよう。

着ていたワンピースの寝巻を脱ぎ、ふと床が目に入った。

「ヒャー、、、なにこれ」

黒い塊があの気持ち悪いカサカサと動く虫に見えて叫んでしまったが、
よく見ると楕円形の石のようなもので、動く様子はないし。
こんなものを買った覚えもない。
とりあえず着ていた服を洗濯機の中に押し込んで、その石を掴みあげた。

「気持ち悪」

テカテカとしたその石は、中は少し茶色い色をしていてそれが余計にアイツに似て見える。
触っているのも気持ち悪くなり、ゴミ箱に捨てておこうとリビングに行こうと足を一歩踏み出した瞬間。
頭に激痛が走った。一瞬そう一瞬だった。
痛いと思った瞬間には目の前が真っ暗になっていた。

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ヨルビアン大陸のヨークシンから離れた少しスラムのように治安はあまりいとは言えないが、綺麗な部屋に1ヶ月ぶりに仕事もなく戻ってきたフェイタンは、風呂から上がり武器の手入れをしていた。

―チッ、今回の仕事は骨折り損だたね

異世界の扉―アナザーワールド―こと異世界に行ける石が今回の獲物だった。
団長は珍しいものに目がない。盗賊たる者欲しいものは奪う。
それには賛同だが今回の獲物は、本当にあるのかすら怪しい異世界に行ける念能力で作り出された宝石。
その為、参加したいという団員も少なく自主参加ではなく指名でシャルとウボーギンとフェイタンが選ばれた。

初めから乗り気はしなかったが、戦闘できて玩具でも捕まえて拷問でもできればいいかと考えていたが、
残念なことに宝石が隠されているとされていた屋敷にいた護衛は遊び相手にもならないくらい弱かったうえに、
ほとんどウボーギンが始末してしまい、宝石を作った念能力者は宝石もろとも自爆して消えてしまった。
正確に言えば、念能力者は自爆して死亡。そのせいで宝石は能力者を失って消えたという方が正しいかもしれない。
結果、情報収集や下準備を含め1ヶ月もの時間を費やしたにもかかわらず宝石も玩具も手に入らず帰ってきたということだ。

帰りに適当に玩具を誂えようかと考えたが、ほんの2時間前まで暴れたりずにストレスを溜めたウボーギンに連れられ、
シャルと3人で酒に付き合わされた。
ウボーギンのストレスは発散されてかもしれないが、フェイタンのフラストレーションは溜る一方だった。


「明日にでも狩りに行くね。」

誰に言うわけでもなくぼそっとつぶやいた瞬間。
何かの気配にサッと後ろを振り返り、何かの後ろに立ったつもりだったが、
目の前にあったのは太陽の光より眩しい光だった。

迂闊にも前が見えず一瞬目を閉じてしまった。

―しまたね。油断したよ。

そう思い。目を開けたが、さっきの様な光は消えていて目の前にあったのは床に横たわった女の姿だった。


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