飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


ボーっと頭に靄がかかったような感覚に起きたことを実感する。

―痛っ

身体を動かそうとした瞬間。
首付近に鋭い痛みを感じて、そういえばシャワーを浴びようとしたとき奇妙な石を拾って
ゴミ箱に捨てようとしたら頭痛がしてそのまま、、、、っと考えを巡らせた。

―にしても暗い。

そう、先程から目を開けているはずなのに目の前が暗い。
それに手足も自由に動かないし、頭痛で気を失っていた筈なのに何かに座っているような気がする。

「起きたか。」

少し遠くでそう呟いた主は、クククッと短い笑い声を漏らしている。

―ヤバイ、誘拐?

頭痛で倒れたと思っていたが、後ろから殴られて倒れたってことなのか。
でも、あの時私は風呂場の脱衣所にいて、中に人なんていなかった。
どうやって殴ったんだろうか。

「さて、どうやてこの部屋にはいて来たか教えてもらうね」

「え?それは私が聞きたいくらいなんですけど。」

ハッと気が付いた時には口から滑り落ちていた。
攫った本人が何を言っているんだと思わず出てしまった。

だけども、この人が攫ったのだったら、私の発言は相手にとって苛立たせるものだったかなど考えもせず、
ただ純粋に思ったことを吐いたセリフだった。次の瞬間

パチっ
「ぐぅっーーーーーはっーぁ―――ー。」

それはあまりにも形容しがたい痛みだった。
悲鳴も出ず、ただくぐもった自身の息とともに音が漏れただけ。
意識は自分の体の一歩後ろに移りキーンっと耳鳴りが聞こえる。

「ハッいい声出すね、まだ中指一本ね、すぐに言わなくてもイイよ」

いつの間にか前から聞こえていた声が後ろからすることなど気にしていられないほど、
自分の右手が痛む。中指に何かされたことは分かったが、指先が熱さとジクジクと波打っていることしかわからない。
ゆくり聞き出すね。と言った声は心底楽しそうだった。

―確かに痛いのは嫌いではないけど、次元が違う。

身体から熱くもないのに汗が噴き出ててくる。
痛みから逃れようと浅い呼吸を整えて深く息をしようとすればするほど、
感覚が鮮明になってくる。

「ほんとっに、、、よく、、わからいんですけど」

やけくそだった。頭ではよくわかってる。
さっきので腹を立てられたなら、こんなことを言ったって何も変わらないし、
なんなら逆に相手を煽っていることくらいは理解できているが、
如何せん判断力が鈍っているのか、言葉を発した後に後悔する。

「ぁぅっーーーーーー」

ジュッという音ともに何かが焼けた匂いがする。
先程の痛みのせいか、幾分かましに感じたが、さっきと同じ場所が引きつるような痛さが襲った。

―焼かれた。。。

その感覚は正しかった。目の前の男はこれからする行為による出血多量死を防ぐため。
先程剥いだ中指の爪があった場所を焼いたのだ。
気絶してしまいたい思いの中、クツクツと笑う相手の声に不覚にもドキッとした私は、
きっと正常な感覚ではないのだろう。

「少しは楽しめそうね」








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