飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


フェイタンside

とりあえず、フェイタンは目の前に現れた床に転がっている女を抱き上げ自分の趣味の部屋に連れていくことにした。

―丁度いいね、狩に行く手間が省けたよ

椅子に座らせた女は念も使えそうにないので、普通の縄を使って手足を椅子にくくりつけて行く。
下着姿の女がなぜ自分の部屋に自分に気付かれずに入ってきたのかは不明だが、彼女自身が念能力を使えないとしたら、誰か別の人物が彼女をここに寄越した可能性の方が高い。

―寄越すならもと強いやつにすればよかたものを

と思ったが、同時にこんな弱そうな奴をこんな格好で幻影旅団の一員である自分に刺客として送り込んだとは考えにくい。
だとしたら彼女を逃す為に何らかの念能力で転送したが、運悪く自分の所に飛んできたと考える方が納得がいく。
とフェイタンは思ったが念の為、完全に抵抗できなくなるまでは目隠しでもしておこう。
そして視覚を奪う事は、感覚を研ぎ澄ますことに繋がる。それは痛覚をも感じやすくさせる事も意味する。

「運の悪いやつね」

フェイタンにとってはそんな事はどうでもいい。
フラストレーションを溜め込みどう晴らそうかと悶々としていたが、狩に行く手間が省けて好都合というだけのこと。
そう考えを巡らせていると

「っ、、」

女が起きたのか、寝息とは違う声を漏らし、少し体をよじった。

「起きたか。」

これから彼女に何をして悲鳴をあげさせ顔を歪めさせ、命乞いをさ、絶望に叩き落とす事を想像すると何とも楽しい気分になり、思わず笑いがこみ上げる。


「さて、どうやてこの部屋にはいて来たか教えてもらうね」

聞いたものの特に回答が欲しいわけではない。
もし、誰かがこの女を転送したのだとしたら、その力には少し興味があるが、今はただ拷問する理由として、質問をしただけだ。
回答が返ってくれば、事実であれ、事実を話せと言うだけ。回答がなければ早く言えと問いただすだけである。

「え?それは私が聞きたいくらいなんですけど。」

返ってきた答えは想像した答えと違った。
誰が言うか等の挑発もあり得るかと考えていたが、聞き返されるとは少し思っておらず、一瞬頭の整理が追いつかなかった。
先程考えた彼女を逃す為に何らかの念能力で転送したが、運悪く自分の所に飛んできたという推測も少し薄くなった。と瞬間的に考えた後、フツフツと苛立ちが湧き上がり

パチっ
「ぐぅっーーーーーはっーぁ―――ー。」

女の中指の爪を剥いでやった。
悲鳴にもならない声とくぐもった悲鳴を耐えた声があまりにも自身を興奮させる。
耳障りな甲高い悲鳴ではなく、痛みを耐える吐息は悲鳴よりもずっといい。

「ハッいい声出すね、まだ中指一本ね、すぐに言わなくてもイイよ」

念も使えない弱い女だからキャンキャン吠えると思ったが予想外に耐えるその声に思わず本音が漏れる。
普通の女ならこれで泣きわめき許しを請うだろう。

「ほんとっに、、、よく、、わからいんですけど」

―威勢のいい女。嫌いではないね。

少し苛立つ心と共に、相手を嬲る口実が出来ていいと思った。
熱していたコテをさっき剥がした爪のない中指に押しやった。

「ぁぅっーーーーーー」

ー本当にコイツは、私好みの鳴き声ね

爪を剥いだ余韻なのか、さっきよりも大きい声だが短い悲鳴と無駄な喚きを上げないその声は、情緒の最中の様でもあって、そうでない悲痛を孕んでいて、何とも形容しがたい。
そしてこの耐え忍ぶ声が耐えに耐えかねて悲痛の叫びに変わる様を見てみたい。とそう思うと同時にずっと聴いていたいとも思える。
どちらに転んでも自分を満たしてくれることには変わりないと思うと楽しくて仕方なく自然と笑みが零れる。


「少しは楽しめそうね」


そう言って笑ったワタシの顔は、女にとっては絶望と狂気でしかないだろと想像した。


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