飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


女を拾ってから3日だった。
目の前に座る女は手足の爪もなくなり、数本はあらぬ方向に曲がっている。目ではわからない部分の骨も何本も破損しているだろう。
しかし、初めて彼女の爪を剥いで焼いたあの日の様に何時も彼女から漏れる声は痛みに耐える喘ぎにも似た甘美な声音だ。
それもいいのだが、たまには違う声も聞きたいと首に手をかけた。

―やぱり、いい音ね

首を絞めて聞こえてきたのは短い呼吸と狭まった器官から空気の漏れる音。
その瞬間、目を見てやりたくなる。
今どんな目をしているのか、顔と同じ様に苦しさに悶えた目に歪んでいるのだろうか。
と考えて、まだ、まだ、もう少し楽しみはとっておこうと手を離した。

「お前、名前何ね」

ただの気まぐれである。
1日目は、ただの会社員で自分は自宅で倒れて気がつけばフェイタンの部屋にいた。誰にも雇われてなどいない。何度聞いても同じ回答を返したが、それ以降はダンマリでそれが面白くなかったのかもしれない。

だが、答えはすぐに返ってこなかった。
それもそのはずだ。
締め上げられて酸欠になった体に酸素を取り入れるべく荒くなった息と咳により喋ることなどできはしないのだろうから。

―面白くないね

「ハッそれも言えないか」

長く楽しみたいと思い切り取らなかった身体の一部をを苛立ちに任せ切り落とした。
やってしまった。とフッと思ったが、何を考えているのだと即座に否定する。
それで無しに今までどんな強いやつでも2日あれば情報を聞き出し面白く無くなって殺してきた。
何が違うのだろうか。

「アァッ――――ゥっ」

ただ、彼女が上げた声は今までの声の中で一番フェイタンを興奮させるものだった。

―あぁ、なんて声ね。

ギャーと甲高い音と違い、絶頂の時の様でいつもと違う微かな絶望が混じったその声は、フェイタンの背筋をそっと撫でゾクリッとさせる。

「言う気になれないか。足の指の方がよかたか」

もう一度聞きたいと思い。
そう問いかけると

「、、、ぁ、リノン、やめ、、やめて」

と、言われた瞬間、今まで彼女の声に興奮してきたが、それをも上回る光悦な感覚が駆け巡る。
支配欲と加虐性を満たす何がフェイタンを襲った。
何時もは沈黙を貫き、拒絶も吐かぬ彼女が自分に許しを乞うように縋ったのだ。


「そう、何時もそれくらい従順でいると良いね、リノン」

彼女から聞いた名前を舐めるかのように呼び、見てみたくなった彼女の全てを。


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