:: ▼航空参謀

▼シリアス気味航空参謀夢
DOTM前くらいのお話



「一人にしないで…、」


そうやって、か細い声で俺の懐に顔を埋めるお前に、俺は髪に指を通すことしか出来なかった。



俺は任務でいつも傍には居なかった。治療中のサイドウェイズ辺りが彼奴の話し相手ぐらいになっているのだろう、帰れば「今日はね、」と嬉々と話し始めるお前に俺は無言で聞いて、サイドウェイズの話になるのは仕方ないというのに、モヤモヤとした感情を持ち合わせる。

そして、ベッドへ軽い身柄を沈める。即座に覆いかぶさる俺を小さく笑うと、スタースクリームと俺の名を呼んで、それを堺に俺は口付けをする。
毎日の日課のようなものになりつつそれを、彼奴は全く嫌がらない。素直に受け入れている。そう思うと、人間でいう胸辺りのものが温度を持つのだ。

だがそれが俺には命取りとなることを知っている。たかが人間一匹に何をしているのだと自己嫌悪する時もある、彼奴から離れれば俺は凶器に過ぎない。
今日も何処かで俺は人殺しをしている、彼奴はそれを知っている、俺が人間でないことを。


「スタースクリーム、」

『何だ、』

「好き。」

『あぁ、』


気まぐれから始まった結果がこれを招くとは昔の俺は思いもしなかっただろう。飽きたらさっさと殺すつもりだったのに、飽きるどころかこうして愛してしまった。
後戻りは出来ない、仲間も勘の鋭い奴は気付いているだろう、だが俺自身の何処かは後悔はしていなかった。
今、もし自ら此奴に手をかけてしまったら、俺は後悔する気がしてならないのだ。


今日、街中に出掛けたらしいお前は人に襲われた。駆け付けた時、俺は人間でありながらいつもの姿であった。
命乞いしようがしまいが関係なしに劈く悲鳴を鬱陶しく思いながら、武器を下ろす。
紅い液体など目も暮れず名前を呼べば、またお前も周りなど視界に入れず、ただ寄り添った俺に抱き着くのみで何も言わない。


そして、非常に小さな声で一人にしないでと言ったのだ。
お前はよくその言葉を口にする、無論俺が生きている限り一人にするつもりなどないが、その場の俺は何も言わずに、ただ頭を撫でてやることしかしなかった。

何故なら戦いが既に始まっていたからだ。公になるまで残り僅かな時間。サイバトロンが輸送するまではまだ掛かる。だが、俺はそれまでの時間を此奴を一人にしなければならない。
ディセプティコン総員が集結する。誰も居ないのだ。


『…………。』


腕の中で眠るお前に、何も思わずに居られる筈がなく、スパークとブレインに渦巻く思いと思考を交差させる。

傍らに熟睡する小さなものを手繰り寄せ、そっと抱きしめると、俺は意を決する。


『勝てば―少なくとも終われば済む話だ。』


.



2012.09.25 (Tue)


prevnext



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -