テスト返却


「みんな…テストどうだった?」


「オイラはまあまあだったぜ!うん!」


「オレは安定の一桁だぜェ」


「言うまでもなく、オレは全て80点以上だ」



いつもテストが返却される度に屋上で飛段やデイダラ、サソリ達と集まりテストを公開しているのだ。



「てか、サソリはなんでいつもここに来んの?自慢ですか?嫌味ですか?」


「……フン…両方だ。」


「……聞くんじゃなかった…」


「彩はどうだったんだよ?うん」


「数学が93点で家庭科が75点、他は10〜20点ぐらいだよ…ほら」



私は皆の前にテストを置き、公開する。



「でも、彩が家庭科75点って珍しくねぇーか?」


「最後の問題以外、全部記号問題だったし…勘で全部真ん中の記号にしたら結構当たっちゃって…アハハ」


「マジで!?じゃあ、オレも次から真ん中の記号にしとこ」



すると、デイダラが私の解答用紙を持ってまじまじと見始める。



「……なんだよこれ!?こんな妄想で、よく満点貰えたな!!うん!」


「ちょっと!勝手に見ないでよ!」


「どれどれ…オレにも見せろよ!」



飛段はデイダラから私の解答用紙を奪い、読み始める。



「……私は将来、マダラ先生と結婚して子供を10人作り幸せな夫婦生活を送りたいと思います。マダラ先生が仕事で例え忙しくても私の愛の力で支えていき……ってなんだよ、これ!?すっげー笑えるわ!!」


飛段がゲラゲラと大きな声で笑いだす。



「……てか、お前…10人作るつもりなのかよ…」


「うん!マダラ先生の美形遺伝子を絶やさないためにね!!」


「……はぁ…お前…よくこんな馬鹿らしい事書けたな…」



サソリは呆れて溜め息をつく。
すると、飛段は自分の解答用紙をさらけ出し見せつける。



「オレなんてな、ちょー正直な事を書いたぜ!」


「……どれどれ………オレは家庭なんか作らずに、てきとーに女を作って、セック……って何書いてんのよ!?テストにこんな事書くなんて…サイテー!!」


「なんだよ、これしか思いつかなかったんだよ」


「オレも飛段と同意見だ…だが、テストには書かねぇな…」


「お前らサイテーだな…うん…」


「なんだよ、デイダラちゃんはどんな事書いたんだよ?」


「……おい!勝手に見るな!!うん!!」



飛段はデイダラの解答用紙をとり、読み上げる。


「……僕は好きな人と結婚をして、2人ぐらい子供を作り、いつまでも幸せな家庭を築きたいと思います……って……お前…女が書くような文章だな」


「……しかも…僕って…プッ」


「童貞だな」


「なんだよ!!普通じゃねぇーか!!てか、お前らがおかしいんだよ!!うん!!」



デイダラはギャーギャーと叫んでは拗ねていた。


「サソリはなんて書いたの?」


「見るか?」


「うん」



サソリは私に解答用紙を渡す。



「……子孫を残して、あまり関わりのない家庭環境を築いていきたい…って…なんか閉鎖的というか…なんと言うか…サソリらしいね」


「……でも、子孫は残すんだな…うん…」


「ヤることは必然だからな」



私は溜め息をつき、解答用紙を置く。



「あんたらが彼女できない理由がよーく分かったよ…」


「……なんだよ、彩ちゃん…オレはいつでも彼女募集中だぜェ」



飛段は私の肩に腕を回し、グッと引き寄せる。



「彩、男はこれしか考えてねぇーんだ、諦めろ」


「おい!飛段!彩から離れろ!うん!」


「なんだよ、彩ちゃん、妙に大人しくなって」


「……マダラ先生もそうなのかな…」


「当たり前だ。奴の場合、自分の事しか考えてなさそうだしな」



すると、非常階段の扉が激しく開かれた。

皆は一斉に扉の方に振り向くと、マダラ先生が此方に向かって歩いていた。



「げっ…」


「先生!!」



私は飛段の腕を振りほどき、先生に近寄るが、完全にスルーされてしまった。



「おい、飛段……貴様…全科目赤点らしいな……次の大会どうするつもりだ……」


「……んだよ、うるせーな。オレ以外にいんだろ」


「……お前はエースなんだ…自覚しろ」


「……何燃えてんだよ、熱血教師演じてんじゃねーよ」


「……オレにそんな口を聞くとは…いい度胸だ……来い!!」


「……ちょ、襟掴むなよ!おい、離せ!!」



飛段を掴みながら先生は扉に向かって歩きだす。
私は先生に近付き、話しかける。



「先生!部活、頑張ってくださいね!!」


「……佐藤、お前は家庭科のテストであんな下らん事を書くな」


「……えっ……!?読んでくれたんですか!?嬉しいです!!」



先生は私を無視して、飛段を掴みながら去っていった。



「……はぁ…先生は私の解答……読んでくれたんだ…嬉し過ぎる…」


「飛段のヤロー大丈夫か?うん…」


「……さぁな…」




―――――その後、
飛段は補習をマダラ先生と一対一で毎日受けさせられ、大会に向けて猛練習をさせられたのだった…



「いいなぁ!私もマダラ先生と一対ーで補習してもらいたい!!」


「うるせーよ!!オレは毎日、奴のせいで死にそうなんだよ!!助けてくれよ、角都ゥ…!!」


「貴様が悪い…」


「そんなぁ、ひでーよ!!!ああー助けてくれー!!」


こうして暫くの間、放課後の教室に飛段の叫び声が止むことはなかった



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