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ホストクラブ「chain」は、他のホストクラブとは違うスタイルを、ということで、男性客の来店を許可している。

仕事の愚痴を聞いたり、恋愛の相談に乗ったりしていると、男性客も女性客に負けないくらい来店してくださるようになった。

俺は新人の下っ端ホストだ。
佐藤 正太と言う名前をもじって、ショウという名前でホストをやっている。

ホストといっても、顔は平凡で、特徴といえば180ある身長くらいだ。
そんな俺が一人でテーブルにつけるはずもなく、No.1さんとNo.2さんの助っ人が俺の主な仕事だ。

No.1のタカさんとNo.2のヨリさんはすっごく美形で、すっごく優しい。
タカさんは、栗色の髪の毛をふわふわとはねさせていて男前だけど、笑顔がすっごくかわいい。

ヨリさんは、黒色のさらさらな髪を肩くらいまで伸ばしている和風美人さんな感じだ。常に敬語をつかっていて、すごく優しい。
そんな2人の助っ人につける俺は幸せものだ。
俺を助っ人に選んでくれた2人には感謝してもしきれない。
2人は俺の憧れだ。

今日も俺はヨリさんの助っ人についている。
氷を入れたりライターをつけたり、ヨリさんとお客様の会話に少し入ってみたり。
そんな事をしていると、オーナーが俺を手招きしてきた。

なんだろ、と思いつつ首を傾げると、ヨリさんに行ってらっしゃいと頭を撫でられた。


失礼しますと言って席を立ち、オーナーの所に向かえば、形のいい綺麗な唇を内緒話をするように俺の耳に近づけてきた。

「なんですか?」


「御山カンパニーの御山社長が、お前を指名したいそうだ。」

「えっ…?」

オーナーが目配せをするテーブルに目をやれば、高そうなスーツを着た、すごく顔が整った男性がソファーに座っていた。

あの人が御山社長…?
てゆーか初指名が男か…

「ほ、ほんとに俺を指名してきたんですか?」

あんな男前が、俺みたいな面白味の無い普通の男なんかを指名するなんて信じられない。

オーナーの耳元で囁くように尋ねると、間近にあるオーナーの耳が真っ赤になった。

え、くすぐったかったかな?

内心首をかしげていると、真っ赤になった耳を片手で押さえたオーナーが、何度も頷いた。

まじか、ほんとに俺を指名したのか…

「何か嫌なことされたらすぐに呼べよ?」

赤くなった耳を触りながら、心配そうに言うオーナーに、嫌なことってなんだろと思いながらもとりあえず頷いておいた。

背中をポンっと優しく押されたので、不安になりながらもお客様がいるテーブルに向かうことにした。


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