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しつこいくらいの愛撫に、力を削がれた想は簡単にひっくり返された。腹には自身が出した精液が跡を残している。身体も頭もふわふわしてくる。想は新堂が自分を見下ろしながら肌けたカッターシャツを脱ぎ捨てる姿に腰が甘く疼いた。脇腹には目立つサイズのガーゼが見えた。
優しくガーゼに触れると、新堂の唇が額に降りてくる。そのまま首筋を舐められて想は目を閉じた。汗や体液で湿ったシャツのボタンをゆっくりと外す指先が肌を掠めるだけで、期待してしまう。
「れ、ん…も、はや、く…」
想は緩慢な動きで足を開き、新堂のペニスへ指を這わせた。
「可愛いやつだな」
新堂は下着とスラックスを脱ぎ、熱く主張するペニスを濡れて欲しがる想のアナルへ擦り付けた。
想のペニスはそれだけで小さく震え、期待するように入口はヒクヒクと新堂を誘う。
想が切なげに眉を寄せ、呼吸を整えようと息を吐き出した瞬間を見計らったように新堂は内部へと押し込んだ。
「ん"あぁあっ!あ"っ、や、クる…っ、あぅ…っンん"!!」
ビクッと腰が大きく跳ねた。想は自分の腰を掴む新堂の手首を強く握り、身体の硬直に耐えるように息を詰めた。
内部が敏感に反応し、トロトロに溶かされた神経が想を快感の波に放り込んだ。
想は射精せずに達した。ペニスはビクビクと震えているが、精液は放たれず、よだれを一層垂らしていやらしくテカッた。長い快楽がぐるぐるとループする感覚に想は切なげに眉を寄せ、ひたすらに甘く呼吸が乱れる。
きゅうっと締め付ける内部のうねりに、新堂は熱い吐息を零した。
「…すげぇな。喰われそうだ…」
「っは、っはぁ……ッん!」
瞬きの仕方を忘れてしまったように開き、涙で潤む想の瞳を新堂は見つめた。長い絶頂の波に翻弄されている彼の額にキスをして優しく囁く。
「ゆっくり息を吐け。気持ちいい事しかしない。ほら、ココが好きだろ?」
優しい言葉とは裏腹に、動き始めた腰。想の腰がビクッと跳ね、目蓋を閉じた。キツく握っていた新堂の手首から想の手がゆっくりと力を失い離れる。
「ん、ん…好き、気持ち、いぃ……れん、好き、おしり、気持ちいぃ……ぅ、っあぁ"!んぅ〜〜ーー……ッ」
ゆっくりと押し入り、焦らすように抜く。そんな動きに想は腰を捩った。強請るように自ら腰を押し付ける。
「い、やだっ…!もっと…奥、れん…ねぇ…っいつも、みたいにいっぱい、欲しい……」
「分かってる。でも、想はすぐイっちまうだろ。楽しまないとな」
「っ、いじ、わる…!」
潤んだ双眸に睨まれるが、それすら愛おしく、煽っているのでは?と思うほどの色気を想は纏っていた。普段の様子とは対照的に、頬は目元まで染まり、控え目に色付く唇から覗く震える舌、小さな動きにさえ反応する敏感な身体。全身全霊で己を求めてくる愛しい姿。それを得ているという満足感が新堂を熱くする。身体も、心も。
浅く、入口付近を可愛がれば、くぽくぽといやらしい音が耳へ届いた。ぬちゅ、とカリが抜けそうな位置までくると、きゅっとアナルが締まって引き止める。それに誘われるように新堂は腰を進めた。
それでも弄ぶような抽送で、想は半端な快楽に熱い呼吸を繰り返す。切な気に眉を寄せ、首を横に振った。
「はぁっ、は…ぅ…ん、ん"っ…や、気持ちぃ…やばい……」
「想」
名前を呼ばれ、声の主を見ようと彷徨っていた視線を向けた。
「漣っ、好き…好きです」
向けられていた強い眼差しに、想は溢れる思いを声にして腕を伸ばした。首へ回し、引き寄せて彼の首元へ顔を擦り付ける。
「ずっと、このまま…でも、は…ッん、いいから、っ離れたく、ない…」
甘えるように首筋を舐め、啄むような動きをしていた唇が不意に離れた。ひと息も置かず、想は新堂の鎖骨辺りに強く噛み付いた。骨のぶつかる音が鈍く鳴った。
「ッ…」
新堂は一瞬驚いたが、想の必死な様子に口許が緩む。満足するなら好きなだけそうすればいい。噛み跡を舐める仕草が可愛らしく見えて、お預けはそろそろかと腰をぐっと入れた。
「ひっ…ぁあ"ッ!」
深く、熱く滾る塊が満たす。想は腰が浮くほどの強い打ち込みに、ペニスから少なくなった精液を滴らせた。
ゆさゆさと奥まで入れたまま揺さぶれば、結合部からは、ぬぢゅっぬちゅ、くぷっといやらしい水音が止まらず、切な気な甘い悲鳴が。腰を大きく動かせば肌を打つ音に混じって想の喘ぎが大きく響いた。
「あ、あっ…!ぁ、れんの、おっきい……!ん、ん"ッ!」
「可愛いやつ。……イイか?好きなところ言えよ」
「ッ、いぃ…!だめ、…や…ッイく…!わ、分かんない……全部、気持ち、ぃ!イく、イっ、く……!」
「またダメだ」
耳元で低く優しく囁かれ、想は何度も頷いた。持って行かれそうな快感を耐え、片手で自分のペニスをギュッと握るように押さえる。
新堂は想の片足首を持って更に脚を広げさせた。いやらしい結合部はドロドロに溶けて、貪欲にペニスを食んでいる。
「いい子だ」
大きく脚を広げたまま、たんっ、たんっとリズミカルに内部を擦られ、想はどうになかりそうな状態から必死に達しないよう努める。口端から溢れた唾液にさえ感じてしまいそうだ。
想の瞳も、呼吸も、表情も、愛する人から与えられる快感を受け止めきれず、卑猥にとろけて新堂を煽る。
赤く染まる想の頬を生理的な涙が伝った。
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