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「こっち見ろ」

 ギロアが強く言うと、ソイルの彷徨っていた視線がゆっくりとギロアを捉えた。強い視線を感じたソイルは、反らせなくなる。
 そのままゆっくりと顔を寄せ、触れるキスをされたソイルは何度もキスを繰り返しながら腰を揺らし始めた。オイルが厭らしい音を立て、ぬちゅっと肌が滑るように触れる。動かし始めた腰は止まることなく、ソイルは快感に酔った。

「ん、ん、ぁっ…あ、すごい、きもちイイ…っあ、く…そこぉ」
「ここ?」

 ギロアは自分のペニスを深くまで飲み込み、吸い付く内壁を擦るように上下するソイルの腰を掴むと控え目に突き上げた。ソイルの腰がビクッと跳ね悩まし気に眉が寄せられる。もっとして、と吐息の中で強請られ、ギロアはソイルの様子を伺いながら何度か腰を使った。
 突く度に声を上げ、薄く開いた唇の合間から唾液が伝った。少し強く打ち付けてもソイルのペニスは萎えることはなく、トロトロと液を垂らし動きに合わせて揺れた。

「ぅん、ん…おれぇ、…こんな、で…ごめ…あ、はぁっ」
「何、謝ってんだ」

 くねくねと自然に腰が揺れ、ソイルは自分の醜態を制御出来ずに鼻を啜った。滲む視界を遮るように瞼を閉じると、ギロアの唇がそこに触れる。ソイルはそれを感じ取って、目尻から涙が溢れた。

「相手が感じてたら嬉しいだろ」
「っ、ん、…うんっ…あんたも、きもちい…?」

 すごく、と答えたギロアにソイルは薄く笑った。

「よか…た…」

 もう、この熱以外受け入れたくない。ソイルはそう思って自然とアナルが締まり、荒い呼吸が更に乱れた。ギロアも絶頂が近いのか、少しばかり腰つきが強くなる。ソイルは揺さぶられるがまま。
 一際激しく内壁を擦られた瞬間、背を反らせて達した。それでも止まない腰の動きにひたすら喘がされ、意識も朦朧とし始めた頃にやっとギロアはペニスを抜いた。

「ん、ぁ…あぁっ」

 内で達した筈なのに、とソイルはぼんやり考えたが、萎え切っていないギロアのペニスが内側を擦りながら抜け出て行く感覚が堪らなく気持ち良く、ソイルはビクッと背を反らした。腰砕けになり、完全にギロアに身体を支えられる。力強い腕に抱かれて、ずっと離して欲しくないと強く思い腕に頬を擦り付けた。声は枯れかけていて空気が抜けるような音となったが、ギロアの名前を囁く。一際強く自分を抱く腕を感じてソイルは安心感から意識を手放した。
 穏やかな表情で腕に埋もれるソイルの額に口付け、ギロアは脱ぎ捨てられていたシャツをソイルに掛けた。身体を抱き上げ、適当に積まれたダンボールから覗いていたタオルを引っ張り出してベッドへ向かう。自分の部屋だった頃とはまるで違う洒落た寝室に驚きつつ、タオルを敷いてソイルの身体を寝かせた。ティッシュを使ってソイルの肌を綺麗にしながらギロアの口から大きな溜め息が零れた。

「…参った…」

 ついに手を出してしまった。ギロアは静かに眠るソイルを見下ろして内心頭を抱えた。こんなに若く成長過程の青年の腕を、いい歳の男の自分が掴んでいいものか。
 確かにソイルに対して特別な感情があることは認めるが、良心が理性的になれと何処かで喚いている気がしていた。それでも、安心して眠る表情を見ると益々触れたくなる衝動もギロアの中に大きく
存在する。必死に自分の方へ手を伸ばし、思いを伝えてくる様は堪らなく可愛らしい。
 ギロアは一通りソイルの身体を綺麗にし終え、ベッドの端に丸められていたシーツを掛けた。

「…くそ、むかつくな」

 寝ているにも関わらず、にやりとしたソイルにギロアは小さな悪態と共に眉を寄せた。しかし、それも一瞬で消え、困ったように微笑むと、静かにベッドへ腰を下ろした。




 



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