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大学生にもなっておかしいだろうか、初恋なんて。
しかも男に。


彼を好きになって気付いた事がある。俺は男に欲情する体質のようだ。
今まで彼女がいなかったわけでもない。でも、どこかで何かが俺の中でいつももやもやしていた。

彼を好きになってわかった。僕は女を好きにはなれない、と。

「どうした?達志」
「あ、ううん。なんでもない」
ぼーっとしていたらしい。
「そうか?」
話し掛けて来た人物こそ、僕の初恋の人。山崎優生。同じ大学の二年。

「ゆ、ゆうせい?」
優生の顔を見て僕はびっくりして。
「あー、殴られちゃった」
左目の周りが赤黒く痣になっていた。
「誰に」
「彼女」

……ゲスの勘繰りだろうか、優生を殴ったのは男?

確かに優生にはかわいい彼女(くやしいがホントにかわいくて)がいる。
でも女が目をめがけて殴るか?やるとしたら平手に頬を叩かないかな?

「あ、疑ってる」
優生に指摘されて僕は下を向いた。
「そりゃ疑うか。ミクをしってりゃ」

瀬野三雲。三雲とかいてミク。
優生の彼女。

「あいつ、男だった」
「……えっ」
「詐欺だと思わないか?あーんなかわいい顔して男って」
「男?ウソ」
「いや、マジで。誰にも言うなよ。で、オレ男は無理っつたら殴られた」
「へぇ」
内心、ザックリだった。でも普通はそうだ。
「あいつ女になりたいんだって。女になったらまたつきあってだと」
「OKしたの?」
聞きたくて聞きたくない答え。
「したよ。オレあいつの顔、好きだしね」

カタン。

達志は立ち上がった。
「達志?」
「出会った頃、言ったよね、優生」
まだ優生がミクと出会う前だ。
「何を?」
「俺の顔、かわいいって」
「うん、言った」
「俺が女だったらつきあってくれた?」
「達志?」
不審そうに優生が達志を見ていた。
沈黙がおりる。

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