MERINGUE CAFE | ナノ


▼ 6

玄関の戸を開け、中に入る。
かすかに絵の具の匂いがする類の部屋。

「類」
「んー」
「着いたぞ」
類をベッドにおろす。

「ゆうせー。みずぅ」
「あー、ハイハイ。待ってろ」
類の家のキッチンはめったに使われないにもかかわらず、きれいに掃除が行き届いていた。

冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出すと優生は類のいる部屋へ戻る。

「ほら」
キャップを開けて渡してやる。
「ん」
子供のようにこきゅっこきゅっと音をたてて飲む類に優生は微かに笑った。

「優生、帰るの?」
様子を見ていた優生に類が顔を上げて聞いてきた。

「いてやるよ。朝まで」
「ほんと?」
「ああ」
朝、着替えに戻ればいいと類に頷いた。

きゅうっと類がしがみついてくる。
「どこにも、行かないで」
「行かないよ」
「優生、キスして?」
類のやわらかい唇にキスをする。
お酒のせいか類の唇は熱かった。

類はそっと優生の首に両腕を絡ませる。

「大好き、優生」
「うん、愛してる」
「僕も愛してる」

類を抱きしめた。
類の体温がいつもより高い。


「類?」
類は優生の腕の中で眠りの世界に入ってしまった。

「いい夢見ろよ?」
類をベッドに寝かせる。

優生もシャツとズボンを脱いで類の横に滑り込んだ。




目を開けるとベッドの中に類はいなかった。

「おはよ、目覚めた?」
「ああ」
「シャワー浴びといで。その間に着替え取ってきてあげる。あとね、朝食出来てるよ」
「マジで? サンキュー」
「出来た嫁でしょ?」
類が笑った。

「類、ミクは恋人だった。もう過去形だ。オレの中では。どこにも行かないから。類の側にいるよ」
「……うん」

きっと、不安が類の中であるのだろう。
昨日、三雲に会ったことで、類はぐるぐるしていたんだと優生は思っている。

普段、類が年上なせいかあまり甘えては来ない類が昨日は優生から離れなかった。

「信じてないわけじゃないんだ。でも……」
「オレ、類に愛されてるよな」
「愛さ……。シャワー、浴びてこい!」
類は真っ赤になって怒鳴った。

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