心の欠片 | ナノ


▼ 14

「シャワー浴びる。その間に部屋帰れ。二度とその面(ツラ)見せるな」
「たけっ、る……」

五月の手が尊に延ばされる。
「近寄るな、……触るな」
寸でのところで五月の手が止まる。
開いていた手がきゅっと握られる。

「出ていけ」

尊の中で熱はまだ渦巻いていた。それに気付かない振りをしてベッドを降りようとし、まだ力の入らない痛む身体が悲鳴を上げ、そのまま痛さを耐えるように蹲(ウズクマ)った。


「……そんな事、出来ない。尊は毎日、おれと顔を合わせなきゃダメだ」
五月の口元が歪む。尊が顔を上げて五月を見た。

「尊、気付かなかった? カメラのシャッター音」
「カ、メラ? まさか、お前……」
五月は自分の携帯を尊に見せ、画像ファイルを見せた。

「脅すつもりか」
「撮った時は純粋におれだけが楽しむだけのものだったよ」
携帯を取り上げようとして、けれどそれより早く五月は一歩後ろに下がっていた。
「脅すつもりはないけれど、尊にはそうとれるかもしれないね。
おれからしたらお願いだけど。簡単な事だよ、セフレと別れて。大和とも、勿論松前先生ともね。身体の関係にならないで」
「……いーよ」

その返事に五月は笑みをもらす。

「尊、好きだよ。大好き」


再び五月は尊をベッドに縫い付ける。

「尊、タってる……」
五月の手が触れる。そうしてゆっくり扱き出した。

「やめろっ、五月」
その声に手を離した五月は何を思ったか、尊のペニスをほうばった。
尊の眉が寄る。けれどそれもつかの間。
すぐに快感が尊を襲った。
巧みな舌使いに翻弄される。


こんな事して何になる。
五月を好きになるとでも思っているのか?

そんな思いがよぎる。

「ごち」
快感の中で弾けた欲望に尊は嫌悪した。

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