▼ 13
ずるりと抜かれたペニスに尊が声を上げた。
「足りない?」
薬のせいか尊のペニスは天を向き、後ろは疼いていた。
尊は黙ったままだ。
「そう。じゃあ、ずっとそうしてろ。この薬、持続性あるから1日そのままかもな」
尊は五月を睨み付ける。
「何して欲しい?」
聞いている間に五月は唇を奪われた。まさか尊からするなんて思ってなかった。
「しろよっ、おかしくなる」
再び尊の中に侵入してくる五月。
「あっあっ……」
手錠がガチャガチャ鳴る。
揺さ振られ、擦られる。
快感が尊の中で生まれる。
頭の中が真っ白になる。
次に目を開けた時、五月の呟きが聞こえた。
「誰のとこ泊まったんだよ……」
なんとなく答えていた。
「孝之んトコだよ」
◇◆◇◆◇
気を失った尊の身体からペニスを抜く。
身動いだ尊の顔は血の気が無かった。
「ごめんなさい、尊」
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
手錠を外して赤く擦れた手首を見て、五月は涙が出た。
ぎゅっと手を握る。
右手の白い包帯が赤く染まっていた。
その手を引き寄せ包帯を取る。
縫ったらしい跡があった。
「誰のとこ泊まったんだよ……」
「孝之んトコだよ」
答えが返って来た。
尊を見ると五月を射ぬくようにしてこっちを見ていた。
「尊」
「知りたかったんだろ、保健の松前先生トコだよ」
「……センセイ?」
「松前先生さ、医師免許持ってたから、縫って貰ったんだ。明日縫い直しだ」
すっと五月の手から逃れた尊の手。
「満足かよ」
尊が聞いた。
「尊」
「満足かって聞いてんだ、答えろ」
「尊……」
答えない五月に尊は視線を反らせた。
満足したわけではない。けれど……!
わかって欲しかった、尊に。好きだという気持ちを。
最悪な行動をしてしまったけれど。
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