スピンオフPink chanmery | ナノ


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「浅草、行ったことある?」
「雷門? 浅草寺とか? ない」
ぶんぶんと首を振る。

「もうすぐ通るから。雷門。浅草寺はまた今度な」

大地は雷門の前を通り、
「時間あるとたまに下町に行きたくなるんだ」
そんな事をぽつりと言った。

「大地って、江戸っ子?」
「ううん、違うよ。育ちは横浜。貴大は出身どこ?」
「俺は……、山形」
「山形からバイクで来たの?」
「そう」
こくりと頷く。

「単なる田舎モンだ」
「なまりがないね」
「ああー、まぁね」
ごまかすように濁す貴大。察したのか大地はそれ以上聞いて来なかった。

「時間が空いたら焼肉食べに行かない?」
「焼肉?」
「うん。おごるから、行こう」
「行く行く」
「おいしいって結構有名なんだ。一度行きたいと思ってるんだけど、行く人がいなくて」
「あの人は? 一緒に来てた刑事」
「たまに。でも、友達とかではないから……。ゆっくり友達や恋人と話しながら飲みたいし、食べたいよ」
「あー、そうだな。職場の奴らと飲むのは、違うよな」
蓮華のホスト達を思い浮かべて、蓮華の奴らと飲みに行くのは友達と飲むのとまた違う。

「俺、友達は少ないし。だから貴大と行けるのは楽しみだよ」
「俺も楽しみ」
一瞬見つめ合う。

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