▼ とびっきりのキスととびっきりの愛
蓮路さんがオレに甘えて来る事ってたまにしかない。
「拓海ぃ」
さっきから何度も名前を呼ばれ、それに生返事を返していた。
「拓海」
「はぁい」
何度目かの返事に蓮路さんはキレた。
「いって!」
寝転がっていた蓮路さんが足蹴りして腰に入った。
「もういい。勝手にやれ」
拗ねた顔して寝室に入ってしまった。
追いかけたいたいけどレポートが終わらない事には蓮路さんに構う事も出来ない。
蓮路さん、どうしてレポートがあるときに限って甘えてくるの!
閉ざされたドアを見る。
年上のせいか、社会人だからなのか、甘えてくるなんてめったにないのに。こんな機会をレポートで何度も潰している。
心の中でごめんと謝る。
次こそレポートと重なりませんようにと祈る。
明日提出のレポートをようやく書き上げ時計を見れば、日付が変わり、提出日の日になっていた午前3時。
そっと寝室に入れば、蓮路さんが顔を上げた。
「起きてたの?」
「拓海が寝てないのに寝れるかよ。レベル上げがしんどいな、これ」
RPGをやりながら蓮路さんは待っていてくれた。
「暇な時、レベル上げしとけ」
ゲームをセーブさせ、くるりと振り返りオレに向かってダイブしてきた。
「うわっ」
床に尻餅をつく。
蓮路さんがばっか、と笑う。機嫌は治ったみたいだ。
「ごめんね、蓮路さん」
謝るとくしゃくしゃと髪をかき混ぜられた。
「気にするな。俺がガキっぽかったんだ」
「そんな事……ない」
笑って、キスしてきた。
蓮路さんのキスは甘い。
とびっきりのキスととびっきりの愛を貴方に!
071014
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