Pink champagne | ナノ


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「ほんと?」
拓海は蓮路と目を合わせる。

「ほんと。タグ見てみろ。c.ARATAって書いてある」
拓海はその場で着ていた服を脱ぎ、タグを見た。

「これ、c.ARATAって、書いてないよ。RASって書いてある」
「あ、それはオリジナルのやつ。その服、新デザインだから。新デザインて、c.ARATAとまたに間違うよね」
蓮路の説明に昴が付け加える。

「なんだ。蓮路、言ってないのか」
新が笑う。

「拓海、服には無関心なんだよな。調べればすぐわかるんだけど」
蓮路は肩をすくめて言った。

「でも、覚えてるよ。初めて服買ってくれたとこって、ここの……RASの服だよね」
「へー、良く覚えてたな。そうだよ。拓海の服は大抵、c.ARATAかRASだな。c.ARATAもRASも新がデザインしたブランドだ」
びっくりした顔で拓海は新を見た。

「正確には、RASはオレだけじゃない。RASは遊びで始めたブランドだし」
新は笑いながらグラスを傾ける。

「遊び?」
それまで黙っていた大地が聞き返す。

「昴と蓮路とオレの3人で作ったんだ。RAS―蓮路のR、新のA、昴のS。ラス」
「知らなかった……」
「ネットに書かれてるよ。わりと知られてる話」
「話すことでもないだろ。拓海に似合うもん着せてる。それだけだろ」
「うん、デザインがいいからな」
うんうんと頷きながら、にやにやする新。

「キモい。新。自分で言うな」
昴は眉を寄せた。

「いいだろ、自画自賛しても。けど、最近マジで、RAS、売上いいよ。支店出してもいいくらい」
興味なさそうに昴と蓮路が同時に、そうなんだと答えていた。

「支店出すなら近所に欲しい!!」
拓海が飛び付いた。

「RASは1店舗しか出さないっていう方針がある」
「えー、なんで」
「新作が沢山出せないし、俺達それぞれ仕事持ってる。まぁ、新は本職も副業も同じだけど。あくまで遊びなんだ。RASは。RASは大学の時、3人で立ち上げた会社なんだよな。3人の中で誰かやめようって言わない限りは続けようって。c.ARATAより少しだけ立ち上げ、早いんだ」
昴の説明に、へぇと関心を寄せる拓海。

「RASはスバル先輩の店、なんだ。資金出してくれたのはスバル先輩だしな」

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