Pink champagne | ナノ


▼ 11

3人分のシチューをテーブルに並べ、サラダを脇に置く。

「蓮路。パン」
切ったフランスパンを昴が手渡して来るのを受け取る。

「ワイン欲しいな。蓮路、ワインないの?」
「何本かあったと思う」
「1本開けるぞ」
「どうぞ」

「ボジョレー呑みたい」
拓海が昴に言う。

「あるの? ボジョレー」
「あるけど。拓海、お前は駄目」
「えー、なんで」
「足首捻った奴が何言ってんだ。せっかく冷やしてるのに」
「あー……」
血の巡りが良くなって冷やしている意味がなくなる。

「じゃ、ちょっとだけ」
「ちょっとだけな」
「蓮路も恋人には甘いんだなー」
テーブルにトンとワインを置いて昴が笑う。

「昴さんがいるからです。普段は全然――って、蹴らないで、蓮路さん」
拓海を蹴って離すと拓海が寂しそうな顔で蓮路を見た。昴が横で笑っている。

はぁと息を吐いて拓海に寄りかかった。

「バカ拓海」
こてんと肩に頭を乗せてくる拓海に囁くと、バカだもんと返ってくる。

「いいコンビだな、お前ら」
「でしょ?」
にへっと拓海は昴に笑いかけた。


「メシにしよ。腹減ったわ」
昴がグラスにワインを注ぎ、3人で乾杯する。ワインを一口飲む。

「……あ。そういや、蓮路」
「ん?」
「コンビニに寄ったろ。駅前の」
「いや。今日は寄ってない。なんで」
「あれ? 蓮路がコンビニ寄ってるなら、ここに帰ってくるの俺の方が早いなって思ったんだよ」
「俺、昴より早かっただろ。人違いだろ」
「あれ? そうだな」
昴が首を傾げる。

「大地さんだったりして」
「誰、大地って」
昴が顔を上げる。

「え。昴さん、大地さんの事知らないの?」
知っていると思っていた昴の反応に拓海はきょとんとした。

「双子の片割れだ」
「あー」
蓮路の言葉に昴は納得した顔を向けた。

「そういやそんな名前だっけ。10年以上会ってないんじゃないのか」
「ちょっと前に来た」
「ふうん」
「俺コンビニ行ってくる。あいつ、まだ帰ってきてないと思って時間潰してんだわ。きっと」
「おー」
昴が手を振る。

携帯電話と財布を手にして立ち上がる。

「蓮路さん」
「拓海、俺と大地を間違えるなよ」
「うん、もう間違えないと思う。殴られたくないし」
情けない顔して拓海は笑った。

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