Pink champagne | ナノ


▼ 9

「蓮路」
「あに?」
新のほうを振り返る。

「おれらなりの弔いをしないか」
「先輩にか?」
「他に誰いるんだよ」
「何すんだ?」

新は少し首を傾げて、そして答えた。
「ショーをしないか」
「ショー?」

「面白そうな話してんな。何々」
蓮路の服に身に着けた昴が戻って来る。

「モデルをたてて、おれはファッション、蓮路はヘアー、昴はメイクをする。おれら先輩の夢に付き合って今の職業に就いたようなもんだ。だったらそれを活かしたおれらなりの弔いだ」
「ショーね、いいじゃん」
昴が手を叩いて賛成する。

「モデルどうすんだ」
「1人あてはある。蓮路、拓海君どうよ。背高いしいいと思うけど」
「……考えとく」

誰も言わなかったが、拓海は澄春に似ていた。
モデルになりたかった澄春。


「ま、この話はまた今度ゆっくりしようぜ」
蓮路が作った朝食を食べ、それぞれの職場へと別れる。

蓮路はすぐにまた新に会う。
彼の髪を切る為に。



「カッコ良くな」
新は蓮路に髪型を任せてしまう。
長年の親友だからどんな髪型にしたいか、どんな髪型にするのか、わかる。

「なぁ蓮路」
「んー?」
「お前、美容師になった事、後悔してるか?」
「いや。むしろなって良かったと思ってる」
「そっか」

「新、後悔してんの?」
「いや? ただ悔しいと思ってる」
「悔しい?」
「先輩がしいたレールの上を走ってる気がしてな。元々アパレル関係の仕事したかったから、いいんだけどさ」
「これからさ、新」
鏡の中の新にハッパをかける。


「俺らは巣立ちを迎えてるんだ、きっと。今までは先輩の為に仕事してきた。これからは自分の為に仕事するんだ」
「そうだな」
「巣立ちの為にもショーはしたほうがいいのかもな」
「うん、そうだな。俺が1番、スバル先輩に依存してる。だから俺がまず巣立たなきゃならないのかもしれない」
「かもな」

鏡に映る蓮路に新は目を向けた。

「美容師のお前、カッコいいよ。蓮路」
「ファッションデザイナーのお前もな。新」

鏡の中で2人は笑い合った。

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