Pink champagne | ナノ


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「かわいー」
チビは意外にもお客様にも好評で。

そして、大地は蓮路がもう1人いると、お客様にびっくりを仕掛けたりと、ある意味、従業員とお客様との間の橋渡し的な感じになり、普段よりお客様を知る機会ができた1日だった。

そして2人と1匹が帰って来たのが9時過ぎだった。

「ただいまー」
蓮路の声にリビングにいた拓海が見えないしっぽを振って出迎えたまでは良かった。

「おかえりなさい、蓮路さん」
ぎゅっと抱きついてキスした。

「てめぇ、何しやがる」
右ストレートが拓海の頬に決まった。
殴られた頬を押さえ顔を上げ、拓海はぽかんと2人を見た。

「蓮路さんが2人いる」
「俺が先に入れば良かったな」
蓮路はため息ついて拓海の前にしゃがんだ。

「神谷大地。俺の双子の兄貴」
「……双子?」

大地を振り返る。

「鬼塚拓海。俺の……」
蓮路はなんて拓海を紹介したらいいのか今更ながら迷った。

男同士に理解があるならいい。なかったら?

「恋人です」
拓海が言葉を続けた。

「ふうん」
大地の反応はあっさりしたものだった。

「あの、大地」
おそるおそると大地に話しかける。

「なに?」
「や、びっくりしないんだなって」
「? 何に? 男と付き合ってる事か?」
「まぁそうかな」
「恋するのに性別なんか関係ない」
魂がするものさ、続いた台詞がそれだった。

「魂、ですか」
拓海が大地を見る。

「死んだら身体は焼かれる。あの世で会うのは魂だろ」
「ようは、ハートか」
「ま、そうだ」
蓮路に大地が頷いた。

「大地、すげー恋愛したんだな」
「そんな事、ない」

けれどよほどの恋愛をしなければ魂なんて言葉は出てこない。

「格好いいです。大地さん」
尊敬というか、憧れというか、そんな類(タグイ)の瞳で拓海は大地を見ていた。
そんな瞳で大地を見る拓海に蓮路はなんとなく不安を覚えた。

なんせ造りは同じなのだ。
蓮路は大地のようにこんな格好いい台詞は吐かない。

悪かったな、格好いい台詞を吐けなくて。
蓮路は不安をかき消すように首を振った。

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