最強男 番外編 | ナノ


▼ メール

弾からメールが来る事はあまりない。大抵、電話での電話連絡だった。

最初は仁からだと思った。仁くらいだからだ、千里にメールを寄越すのは。


そのメールは無題で、テキスト内に一言、仁コレクションとあり仁の画像が添付されていた。

直後に弾からの着信。
携帯電話に耳をあてると弾の声がした。
『メール、行ったか』
「仁コレクションか?」
『そう。千里にも送ってやるよ。仁に代わる』
ごそごそと音がした後、千里と仁の柔らかな声。

『弾がさ、厚也の気を引くために俺の写真撮りだしてさ。一応千里にも言ってた方がいいと思って。弾から俺の画像がメールで毎日一枚送信されるから』
「なんだ、弾はそいつに惚れたのか。厚也、斉藤厚也か?」
『そう』
仁の友達。斉藤厚也と仁の間には何かあると千里は思っている。

「仁はいいのか」
『うん。弾の恋が報われるなら協力してあげたいし』
「わかった」
本当はわかったなど言いたくはない。斉藤が仁が好きなのは千里だって知っている。

『千里、俺は厚也の事を千里みたいに恋愛の対象として見れない。千里だけだから』
千里の気持ちはお見通しだったようだ。

『仁コレクションを送るのにあらぬ誤解をして欲しくないから。まぁ、送信するのは弾だけど』
「俺は仁から送って貰いたいな。仁」
『ん。弾から来たやつを俺が千里に送信するよ』
「ああ」
『千里、まだ歌舞伎町?』
「いや、本宅に向かってる」
『そっか。弾と珠希さんと千歳と4人で今、テレビ観ながらゆっくりしてるとこ。早く帰ってきてね、千里』
わかったと電話を切って時計をみれば8時5分前を指していた。

「千草。早く帰るぞ」
「はい」
仁との会話が聞こえていたのか千草ははいと返事をして少しだけ車のスピードを上げた。


仁の画像を携帯電話のデータボックスにいれる。ある程度たまればパソコンに移すかと考える。

「千里、顔がにやけてますよ」
バックミラーを見ながら千草が笑った。

「いいだろう。別に」
「いいですけどね、下の者にその顔見せないで下さいね」
「当たり前だ」
そう言って煙草を取り出す。

「千里は仁さんがうちに来てから変わりましたね」
「そうか?」
「少しだけ性格が丸くなった気がします」
「自分じゃわからん」
「変わりましたよ。今の千里のほうがいいですよ」
千草は微笑んだ。

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