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「その情報盗ったら、どうなる?」
「間違いなく、東雲組は潰れる」
「潰してしまうのは本位じゃないな。けど、他の組は喉から手が出るほど欲しいんだろうな」
「ま、そうだろうな」
立ち上がった壱は時雨と同じくらいの背丈だった。
新宿駅で壱をおろし、屋敷に戻ると千鷹は真っ直ぐ自分の部屋に戻った。
「時雨」
ベッドの中に潜り込んでいた。
頭からタオルケットを被っている。
「すねるなよ、時雨」
「すねてなんか……」
「じゃあ、顔出せ」
そっと顔を出し見つめてくる。
千鷹は唇にキスを落とす。嬉しそうに笑う顔。
「時雨」
「要……、何の用だったの?」
「たいしたことじゃない。銀座に店出したいママがいるんだ。バックに久遠寺が付いてるらしいがママはヤクザが絡むのはいやらしい。そういう相談があったらしい」
「要も東雲組だろ。そのママ、要が東雲組って……」
「知ってる。ヤクザに対抗できるのはやっぱヤクザだ。一般じゃ太刀打ち出来ない」
「そうかもしれないけど、銀座はシマじゃない。うちが出て行っていいのか、それ」
「そこは要が上手くやるだろ」
「あー、そうだね」
納得した顔で時雨は手を伸ばしてきた。シャツのボタンをはずしていく。
「風呂入ってない」
「いいよ。千鷹の匂いがするから」
「汗臭いだけだろ」
「そんなことないよ」
されるがまま脱がされ抱きつかれる。
「時雨、シャンプーのいい匂いがするな」
「うん……」
千鷹を挑発するようにフェロモンを撒く。
時雨のセックスアピールににやりとする。いつもの時雨ならこんな事しない。そんなタイプではない。これは時雨なりの千鷹用浮気防止対策だ。自分の方がいいだろ、と言ってるのだと解釈している。
「やらしいな、時雨」
かわいい奴、そう思いながらパジャマの上から突起をこねる。
「ふ……っ」
小さく鳴いた。
「時雨……」
名前を囁けば、身悶える。
「ほんと、やらしーわ。俺のベッドで何してた?」
カァッっと時雨の頬が赤くなる。
「オナってたろ。反応がいつもより早い」
「だっ……て」
「だって、何?」
つ、と時雨の背に指を這わせれば、身体を震わせ、息をつめる。
「したいなら、誘えよ。その気にさせたら抱いてやる」
「その気に……今、なってない?」
「なってない。お前の嫉妬につきあってられない」
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