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モンから離れキッチンに入った。
「あ、ワン」
フェニックスが手招きする。
10番目の酉。でもなぜかうちの店では不死鳥(フェニックス)だ。鳥だし、虎でチェシャ猫よりいいのかな。
「お前の分。休憩中に出すつもりだったんだけど、ちょうど忙しくて」
グラスを手渡される。
「フェニックス特製、ブドウジュース」
一口飲んでフェニックスの顔を見た。
「おいしい。すっきりしてて、でも少し酸味があって」
「ありがとう」
そこに眠りネズミがキッチンに入ってくる。一番目の子(ネ)。
いつも眠そうにしている、だから眠りネズミ。
ホールにいてもあまり眠りネズミを見かけない。
たまにみかけてもキッチン。
キッチンの仕事をしているかといえばそんなことはない。
いつもどこにいるんだろ、と思う。
「眠りネズミも試飲してみて」
グラスにブドウジュースを注いでフェニックスはグラス眠りネズミに渡す。
眠りネズミはワインを試飲するかのようにグラスを回して香りをかぐ。
そして一口くちに含んで、言った。
「レモン?」
「うん、入ってる」
「ライムのほうがいいかも」
「わかった」
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