最強男 | ナノ


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「ちーちゃん。それ、黒田さんと雲雀さんが仁を襲ったって事?」
「JKのタトゥー、黒田しかいないだろ。横っ腹に火傷だ。このコンビでいて、他に誰を思いつく」
「そうだけど。雲雀さんまで?」
「それを確かめるんだろう。千歳がアルバム持ってくればはっきりする」

千歳が戻り、アルバムを開く。

「斎藤、この中にいるんじゃないか」
開いたアルバムを千里は厚也の前に置いた。厚也が1ページ目からゆっくり見ていく。


「このアルバム……」
「ま、家族写真だ」
厚也が黙る。そしてあるページで手が止まる。

「いた。こいつ……」
「雲雀だ」
「……と、こいつ」
「間違いないな」
厚也が指差したのは黒田と雲雀だった。

これ、だろうか。
仁を拾う前、仁は黒田といたことがわかっている。その後、千里が仁を見つけた。その時、黒田はいなかった。

仁と黒田の繋がりは見えた。だが、その時、なぜ黒田といたのかが依然、わからない。

黒田に一度訪ねたが、黒田はのらりくらりと答えを避けた。

「御堂……」
ゆらりと千里の雰囲気が変わった。とたんに御堂が居住まいを正し返事をする。

千歳がその空気を感じとったのか泣きそうな顔で千里の手を握る。ぐっと千里は千歳を抱きしめた。

「斎藤を任せていいな」
抑えた声が問う。

御堂が厚也の顔をじっと見る。そしておもむろに頷いた。

「斎藤。余計な真似するなよ」
「……」
「俺だって腸煮えくり返ってる!」
びくりと千歳が肩を震わせる。

「千歳、悪い」
千歳を慰めるように千里の手が千歳を撫でる。厚也は千里がこの部屋に千歳を連れてきた理由が見えた気がした。

怒り出さないためだ。千歳はストッパーだ。それと、幼い子供にある程度話を聞かせる為もあるかもしれないと思った。

本来なら子供に聞かせる話ではない。だが、千里は殆どを千歳に聞かせている。聞かせている意味があるのだ。

「……わかった」
厚也の返事に千里が息を吐く。

「約束したことがある。仁と千明と」
「約束?」
千里が聞き返す。

「多分、千明も思い出してるはずだ。東雲さん、いざとなったら約束を守る。千明もそうだと思う」
「どんな約束なんだ」
「何かあったら助け合おう。それだけだ。でも、俺らの中に常にあるものだ」
「千明にもか」
「絶対」
「そうか」
それは千里が何も出来ずにいれば、厚也と千明が動く、そう言っていた。

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