最強男 | ナノ


▼ 5

リビングへ千歳と移動する。リビングに蓮池がいた。
蓮池が小さく頭を下げた。

「仁が帰ってくるまで千歳を頼む」
「はい」
「明日から幼稚園は休ませる」
「わかりました」

返事をする蓮池に千里は言う。
「今日はもう休め。千歳は俺の部屋で寝かせる」
「では……、失礼させて頂きます」
「ああ」
リビングから蓮池が出て行く。

「眠そうだな、千歳」
目をさすっている千歳を千里は抱き上げた。

「俺の帰りを待つからだ」
「だって……」
仁を慕う千歳は仁が心配だったのだろう。もう夜中の12時はとうに過ぎている。

「言わなきゃ行けないと思って」
「何をだ?」
「ううんとね、厚也には御堂がいいよ」
「千歳?」
千歳は厚也の名など知らないはずだった。

「頭の中で誰かがそう言ってるの。多分、咲ちゃんが」
咲ちゃん、千咲の事だ。

「仁と関係ある? わかんないけど言わなきゃいけないと思って」
「そうか。わかった」
「僕、役にたった?」
「ああ、すごく」
千歳が微笑む。

「良かった……」
そう言うと千歳は眠りに引き込まれていった。

千歳を抱き上げて千里の部屋のベッドに寝かせ、部屋から出る。

携帯を取り出し電話をかけた。
「楓、来い」
ワンコールで出た相手に一言を告げ、電話を切った。

潤島楓。
いつもは陰のように屋敷にいる、東雲、日立、新居の三家の間者だ

すっと楓は近づいて来る。

「圭介は役にたってるか」
「ええ」
「……日立に連絡してくれ。御堂を貸して欲しい。明日、日付はもう今日か。屋敷に御堂をよこせと」
「わかりました」
「昼前だ」
楓はすぐさま千里から離れた。日立当主にはすぐに連絡が行くはずだ。



朝、起きれば隣に仁ではなく千歳が寝ている。
起こさないようにベッドから出て、朝風呂に入った。

「千里」
千草から声がかかる。

「御堂が来ましたよ」
「もう? わかった」
着替えて御堂の待つ部屋へと足を踏み入れる。

日立御堂。
千里の双子の弟朱里の“日立”、初瀬の弟が御堂だ。

「早かったな」
「市内にいたから」
「横浜市内にか」
「そう。ライブがあって昨日、横浜スタジアムにいた」
「なんだ、ここに泊まれば良かっただろ」
「仲間とその後呑みに行ったから」
「寝てないのか」
「うん。寝てない。用って昼なんだろ。寝ていい?」
「ああ」
ごろりと御堂はその場に寝っ転がる。

「ここで寝る気か」
「うん、ここでいいや」
8畳程の畳のあるこの部屋を御堂はえらく気に入っていた。

「布団くらい敷け」
「千里組長敷いてよ」
「仕方ないな」
千里にこうしてわがままを言えるのは日立の中ではくふりとこの御堂くらいだ。

prev / next
bookmark
(5/24)

[ back to top ]


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -