最強男 | ナノ


▼ 4

克己の手が仁の髪を撫でる。その手が優しい。

「……いいよな?」
何がと聞き返そうとしたが再びキスで塞がれた。
歯列を割って入る克己の舌に蹂躙される。

克己の手が器用に仁のスエットを脱がせていく。

「……。……いやだ」
呟くようにこれからの行為を拒否てみる。

「ひっ! う……」
克己の指が乾いた仁の後ろを貫いた。男のごつごつした指が仁を犯す。
探るように仁の中を指が這う。

「く、おん、じっ……」
克己の手は仁が名を呼んだだけでは止まらない。

「や、あ」
身体を捻るが大した効果はない。

「あうっ」
ビクッと身体が反応する。

「ここか」
指が仁の前立腺を見つけ出した。
前立腺を刺激され、さっき出したばかりだというのに中心が頭をもたげ始める。
じんわり快感が全身に張り巡らされる。

「あ、あ」
先走りがつたい仁の窄まりを濡らす。克己の手まで汚していた。

そろそろと仁は自分の中心に手を伸ばす。その手を克己ははねのけた。

「言え。イかせてやる」
決定的な刺激はない。だからイけない。

「くおんじっ」
「違う」
荒い息をはく。
何が違うかもわからず、克己にしがみつく。

「くおんじ、イきたいっ」
「名前呼べ」
「な、まえ、……?」
潤んだ瞳を克己に向ける。克己は射抜くように仁を見ていた。

「っ、かつみ! かつみ、イかせて! ……ぉね、がいっ」
悲鳴を上げるようなそんな声で克己に訴える。

「イけ」
前を扱かれ、2度目の白濁を吐き出していた。

仁の身体が弛緩して、克己にしがみついていた仁の手が白いシーツに落ちる。

「お前、オレの名前、知ってたんだな」
「……久遠寺克己は、有名だったから」
「それ言うならお前もな」
「は?」

後ろから指を引き抜くと仁の吐いた白濁を蕾に塗り込める。
克己は一気に仁の中に中心を差し込んだ。
仁が悲鳴を上げる。
挿入を拒むように身体を固くする。

「力抜け」
「……む、りっ」
克己の手が仁の中心を扱く。

「うっ、く」
感じたのか小さく喘ぐ仁。
徐々に克己の手の中で大きく固くなる。

克己は自分自身を仁の前立腺に当たるように掻き回した。

「ああ……っ」
仁の感じた声が短く聞こえた。
一度引き腰を入れる。

仁の中は狭かった。解さず入れたせいもあるだろう。ただでさえ男を受け入れる器官ではないのだ。

動けば仁の身体は強ばるが、感じていなくもない。
汗で湿った仁の首筋を克己はぺろりと舐め、歯をたてた。

「くお、……じっ」
かすれたような仁の声。

「じ、ん」
仁の中で克己が大きくなる。同時に荒々しい動きで勝己は仁を犯し、仁の中に精を放った。
仁の上で荒い息をする。

ぱたたっとシーツに白濁が落ちる。仁もシーツの上に果てていた。

「仁」
億劫そうにだるそうに克己に目を向け、だが仁は目を合わせない。

「……出て行け」
まだ克己は仁の中にいた。吐き出して小さくはなったが、まだ萎えてはいかなった。
腰を動かせば仁が鳴いた。

「第2ラウンドいけそうだな」
「やめろっ、て。……っ」
前立腺に当たればピクリと反応する。

「ほんとに、マジで。やめて」
懇願するように仁が言う。

「やめて下さいだろ?」
「……やめて下さい」
「素直すぎていじめがいがない」
肩をすくめて克己は仁から出ていく。

身体を投げ出すように仁はベッドに沈んだ。

「お前、東雲とやってねーの? そんな感じする」
それに仁は答えなかった。口を開くのも億劫だった。
瞼が重い。仁はそのまま眠りに引き込まれていった。




仁が目を覚ましたのは息苦しさからだった。
目を開けて起き上がろうとするが克己に覆い被さられるようにして寝ていた。

克己の下から何とか這い出すと共に、腰の違和感に身体の動きが止まる。動き回るには怠くて重い。
仁の下半身は綺麗に拭われていた。克己が後始末をしたのだろうか。


カーテンの隙間から明るい日差しが漏れていた。昨日、暗かった事を思うと夜だったと推測された。

仁は部屋をぐるりと見やった。物があまりない。ここには寝るだけの部屋。そんな印象を受ける。実際この部屋は仁のいるこのベッドと備え付けのクローゼット、あとテレビくらいしかない。
ここで毎日過ごしているとも思えない。


克己は起きそうもない。
小さな寝息をたて仁にしがみつくようにして眠っている。
瞳を閉じた克己の顔は酷く幼かった。

仁は克己のこの幼い寝顔を見たことがある気がした。
どこでだろうか、高校の時だろうか。高校の時しかないよなと思いながらもクラスも違った、あまり接点もなく過ごした仁に克己の寝顔を見ることが出来たのか。
まぁ、ひょんな事で見たのかもしれないと思った。


身じろぎをして克己が目を覚ます。
「……おぅ」
「おはよう」

克己を見下ろす。目を擦りながら何時と聞いてきた。

「知らない。時計どこ?」
「テレビの横」
テレビ脇の奥に時計があった。

「7時過ぎ」
「……起きるか」
ベッドから跳ね起きて部屋から出て行こうとする。

「あっ、トイレどこ?」
「……何、タっちゃった?」
「違う!」
思いっきり否定すると克己は笑った。

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