最強男 | ナノ


▼ 21

「ま、前に梓は久遠寺組と関わったから狙いは梓かもな。でも、もしかしたら日下君の事、あちらさんは知っているかもしれない。少し前、日下君の友達が山城組や他の組から捜されていたし」
「まさか厚也?」
「ああ、そう」
厚也の名が出て黒田に目を向ける。

「そいつは東雲が保護してる。警察の目もある。だから厚也とやらが拉致られる事はないさ」
「警察?」
「聞いてないのか。引越しして千早の住むマンションにいる」
千里からも厚也からも何も聞いていなかった。けれど厚也の安全を守ろうとしてくれた事は嬉しいと思う。
引越しを厚也が言わなかったのは言わなくていいと思ったからだ。

「黒田さん、弾がいる場所ってわからないんですよね?」
「今のところ情報は入ってないね」
「わかるかもしれない」
仁は携帯電話を取り出した。

「どうやって? GPSはあいつの携帯の電源が入ってないから使えない」
「GPSじゃなくて……。でもわからないかもしれないんで期待しないで下さい」
仁は携帯を開くと厚也の番号にかけた。

ぷるるとコール音がする。3コールした後厚也が出た。

「厚、弾どこにいるかわかる?」
『弾? 今日は本宅に行くって……。会ったんじゃねぇの?』
「会った。でも別宅に戻ってない」
『……それって』
厚也が言葉を切った。

『仁はなんでオレが弾の居場所わかると思った?』
「その答え、厚はわかってんじゃないのか? 弾は厚にとって大事な奴になってる。違うか? 厚」
厚也はそれには答えなかったがその沈黙こそ肯定したようなものだと仁は思う。

「だから、もしかしたら厚は弾の居場所なり、何らかの事がわかるようなもの弾に仕掛けたかもと思って」
そう、仁と同じように。

『折り返しかける』
その答えに仁は通話を切った。


「弾になんか付けたって事か」
「おそらく……」
「気に入らないけど今回ばかりは助かった。わかるんだろ」
仁は頷いてみせた。

「遼達も同じとこに放り込まれていたらいいけどな」
弾と珠希は一緒にいるだろう。だが遼と梓がいるとは限らない。

「でも遼さん達はまだ拉致られてるかはっきりしないんですよね?」
「ああ。でももう別宅に戻っててもいいはずなのに戻らないからな。拉致られた可能性が高いんだ」
本宅から別宅に遼達は帰るはずだった。仁は本宅からここ、日立探偵事務所に来た。仁が日立探偵事務所に着いた時点で遼達は別宅に着いてないとおかしいのだ。

prev / next
bookmark
(21/22)

[ back to top ]


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -