一万円・番外 | ナノ

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皆さん、こういうときどうしたらいいと思いますか…?





「…あ、…た、高瀬…っ」

「…おう。」


一般的に恋人というのは、異性だ。
おおよそは男と女。
だけど俺達のように同性同士で付き合っている人達も居る。
男と男か、女と女。

女の人達はまだいいだろう。
…だが俺達男同士の場合は、一体どうすればいいのだろうか?



「…あ、えっと…、」

「……………」


ただいま俺達は、偶然トイレのタイミングが一緒になったのだ。
ここで冒頭に戻る。
一体こういうときって、どうすればいいのだろうか?


…普通に用を足していいのだろうか?
それとも何もせずに、手だけ洗ってトイレから出るのが正解?


女の子同士のカップルというのは、個室だから遭遇したところで全然恥ずかしくはないだろう。
だけど俺達男の場合は、普通は個室で用は足すことはない。だから仕切りがないため、全てが丸見えなのだ。


「………っ、」


意識している俺が変なのかな…?
で、でも用を足すってことは、…つまり、その、…あ、あれを出さなきゃいけないってことだし…。

それを見ず知らずの人ではなく、恋人である高瀬の前で出さなくてはいけないというのは、非常に恥ずかしい。

俺は気付かれないように、チラリと横を見て高瀬の様子を伺う。


……しかしばっちり目が合ってしまった。



「あ、いや、ごめん…。な、何でもないよ…っ。」


小心者な俺はすぐさま高瀬から視線を外す。
…本当に一体どうすればいいのだろうか?
高瀬も用を足そうとするどころか、こちらを凝視しているくらいだし…。

やっぱりここはトイレから出るのが正解なのかな…?
で、でも、それだったら返って怪しまれるかもしれない。何もせずにトイレから出て行って、変に意識していることがバレるかもしれないし…。



「…あ、えっと…、」

「…………」


もうここは腹を括るしかない。
…何もせずに出て行って、怪しまれるのは嫌だ。
ここは平然を装って、用を足した後にすぐに出て行くのが一番だ。

俺はそう思って、ズボンのチャックを下に下げた。


…すると何故か隣から、ゴクリというの喉が鳴る音が聞こえてきた。




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