一万円・番外 | ナノ

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仁湖と野獣




<注意書き>
・“童話パロ”のアンケート結果での小説です。
・2位となった「美女と野獣」をテーマに書いています。
・原作に忠実ではありません。
・特に誰と決まっていないキャラが出てきます。
・高瀬×仁湖の小説です。
・エロシーンは皆無です。
・見てからの苦情や批判はお断りしております。


以上の内容が大丈夫だという方は、どうぞよろしければスクロールお願いします。











あるところに三人の息子を持つ商人が居た。
長男と次男は、自分のやりたいことを探すために、早くに家から出てしまったという…。
そのため商人は三男と二人暮らし。


その三男の名前は、“仁湖”…。
父親である商人は仁湖のためにバラを摘もうとある庭に忍び込んでいた。

一本、二本、三本…と棘の生えた茎を折っては、摘む。そして十本ほど摘んだところで、商人はバレないようにこっそりと庭から出ようとした。


……のだが、




「……おい。」


後ろから声を掛けられてしまった。
商人が驚いて後ろを振り返るとそこには…、獣の顔をして人間の身体をしている、“野獣”が居た。
商人は「食べられる!」という恐怖で、ヒッと引き攣った声を出して、尻餅を付く。
なんとか逃げようと尻餅を付いたまま後ずさるのだが、野獣はどんどん近づいてくる。


「…逃げるな。」

唸るような低い声と、鋭い目に睨まれてしまっては、商人は後ずさることも出来なくなった。


「久しぶりに、人が来て嬉しい。…どうだ?もてなすぞ。寄っていけ。」

野獣の申し出に断れるわけがない商人は、コクコクと何度も頷く。







そして商人は、野獣に案内されるままに豪邸の中を見回る。
どうやら野獣の言っていた“もてなす”と言っていた言葉は嘘ではなかったようだ。
豪華な食事に高価な着物。野獣は本当に商人を歓待している。
そこで調子に乗ってしまった商人は野獣に次々に豪華な物を要求する。
高価な時計に高価なダイヤに高価なネックレス。最初の内は優しい野獣は商人の申し出に応えていたのだが…、

一向に止まることのない要求。
遂には高価な車など、何百年一生働いても手に入らないような高級な物まで要求してくるようになった。


…そこで、優しい野獣の堪忍袋が切れてしまった。



「…俺は謙虚な奴は好きだが、

図々しくて金に汚い奴は大嫌いだ。」



鋭く見下した目付きで商人を見ると、野獣は地下にある檻に商人を閉じ込めた。
当然のことながら、商人は泣き叫んで野獣に助けを求める。何度も「助けて!すみません!許してください!」と泣き叫ぶ。
ついには、「息子を代わりに差し上げますので、私は助けてください!」と言う始末…。

あまりにみっともなく命乞いをしてくる商人に、野獣は興味も関心も持たなくなった。
…だがこんな汚い心を持つ商人と子供を一緒にさせておくのはどうだろうと思った野獣は、その要求をのむことにした。





………ここから全ては始まった。


金持ちの野獣と、貧乏人の仁湖の物語…





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