▼ 1(宝来視点)
捕
ま
っ
た
の
は
ど
っ
ち
?
「…ひぐ…っ」
殴れば今にも大粒の涙が零れそうなほど、目元には涙が溜まっている。
だけどそんなことを俺には悟られないようにと、潤んだ瞳で俺を睨み付けて来る。
そんな目で睨んでも、俺を煽る結果しかならないというのに…。
本当に可愛くて、苛めたくて、
仕様がない。
俺と柊はそれぞれチームの頭。
敵対している俺たちは、遇えばすぐに乱闘騒ぎになるくらいだ。
そして昨日、
柊は卑怯な手を使って、俺の側近に闇討ちしたのだ。
そこでキレた俺のチームの奴らは今日、柊と柊の側近を俺の前に連れてきた。
「くそっ、離しやがれ……っ!」
柊は背中の後ろで腕をロープで縛られ、四つん這いの状態で俺を睨み付けて来る。
その後ろには、柊の側近が同じように背中の後ろで腕を縛られている。
「宝来、てめぇ…っ、絶対ぶっ殺してやる!」
四つん這いでキャンキャン吠えている柊の姿は、まるで躾のなっていない犬のようだ。
俺の手下に殴られて少し腫れている頬が痛々しい。
…俺は手下に、こいつに触っていいとは言っていないというのに。
柊も簡単に、俺以外の奴に触られてるんじゃねぇよ。
「おい、聞いているのかよ…っ。くそ、死ね。離せ!」
「…解放は出来ねぇ。」
睨み付けて来る柊の顎をクイッと上にあげて、俺と視線を合わせる。
そうすると柊は、俺の顔に向けて血が混じった唾を吐きかけてきた。
「は、…ざまぁみろ。」
俺の顔に唾を吐きかけることが出来て嬉しいのか、柊は鼻で笑う。
しかし俺がその唾を指で拭い、わざとらしく舌を出して舐め取れば、柊は目を見開いて驚く。
そんな柊の一喜一憂に、俺は余計に興奮する。
「…おい、…柊。」
「…んだよ…?」
「解放して欲しいか?」
俺がそう言えば、柊は子供のように嬉しそうに笑みを浮かべる。
だがそれを俺に悟られまいと、すぐに怒りの表情に戻す。
「…さっきは、無理だって言ってたじゃねぇか…」
「あぁ、お前はな。」
「は…?」
「柊ではなく、…お前の子分は解放してやるよ。」
敵対チームにはただの卑怯者。
だが人一倍仲間思いの柊。
「だったら、…早くあいつらは解放してくれよ。」
昨日の闇討ちは俺一人がしたんだからあいつらは関係ない…と、悔しそうに眉を顰める。
「解放してやるが、…それはお前次第だ。」
「…どういう意味だよ……?」
「銜えろ。」
柊の後頭部をグッと掴んで、俺の下半身に顔を近づかせる。
「……は、…なに…言って…?」
「ここまでしても分からねぇか?」
先程の柊の表情で、少し勃ち上がっている俺のペニス。
柊の顔にゴリゴリっとズボン越しに擦り付ければ、目を白黒させた後、すぐに嫌そうに顔を歪める。
「…きしょっ、…お前、離せって…っ」
今からさせられることが分かったのか、柊の声は恐怖で震えていた。
「離してもいいが、…そしたら、お前の子分はどうなるか分からねぇぞ。」
柊の子分には、俺の腕のある側近が一人一人付いている。
こんなことをして卑怯者だと言われるかもしれねぇが、それはお互い様だ。
…お前を手に入れられるのなら、手段なんか選らばねぇよ。
「………く…っ」
「どうする?……お前が決めていいぜ?」
俺に服従の意味を込めて、銜えるのか。
断って、自分の大事な子分を半殺しにされるのか。
…聞かなくても、俺は柊がどちらを選ぶのかは分かる。
仲間思いな柊の答えは一つしかない。
「…わ、分かった。分かったから、…あいつらは離してやってくれよ。」
「だったら先に銜えろ。」
「…っ……」
柊は縛られている仲間をチラッと横目で見た後、悔しそうに顔を歪める。
「…やるから、…手、解け。」
「駄目だ。」
「っ、…なら、どうやって…っ。」
「手が使えなくても、口が使えるだろ?」
俺は自分でベルトだけ外すと、柊に口でズボンを脱がせるように命令する。
俺の理不尽な発言に柊は大きな目に涙を溜めた後、意を決したのか、自分から俺のズボンに口を近づけた。
すると柊の子分が、「止めろ、止めて下さい。」と叫び出す。
そんな子分の声がさらに柊の羞恥を増したのか、頬を真っ赤に染める。
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