短編集 | ナノ

 無花果(前編)




※内容・人物紹介※

・大学生×大学生(友達)
・イケメン×平凡
・女性との性描写有り(3Pメイン)
・二人は付き合ってません
・全頁陸視点


●赤井空(あかい そら)
何処をどうみても平凡。大人しい。人見知りゆえ友達が出来にくい。なので唯一の友達は大学で出来た陸のみ。

●青木陸(あおき りく)
強面イケメン。空とは違ってすぐにでも友達が出来そうな容姿をしているものの、人を寄せ付けないオーラを出しているため現在は空とだけ一緒に居る。どうでもいいやつには、凄い性格悪い。ノンケ、…だと思う。

●さやかさん
出張ホステス。おそらく源氏名。とても綺麗な容姿をしているものの、性格はいまいちといった所。ある意味この人が一番可哀想。



この話は女性との性描写(空も陸)が含まれていますので、苦手な方は閲覧を控えてください。大丈夫な方は、そのままスクロールお願いします。









事の始まりは、空のこの発言からだった。



「……お、俺、3Pとかやってみたい…」

「あ゛?」







無花果







「…何言ってんだ、お前?」

「だ、だから、…さんぴぃ…っ」

「…………」


恥ずかしそうに声に出す空。
どうやら俺の聞き間違えでも、俺が思っているのと違う意味でもなかった。まさかこいつの口から3Pという言葉が出るとは思いもしなかった。ましてや「SEX」という単語すら知らねぇと思ってたくらいだ。



「いきなりどうしたんだよ…?」

「…別に、理由はいいじゃんか」

「…大体お前普通に女とヤったこともねぇんだろ?」

「そ、それくらいある…」

「あ゛?嘘吐くな。」

「…………」

「ないんだろ?」

「…………」

「…ねぇんだろ?」

「……ない、…かも」

「かもじゃねぇよ、童貞が馬鹿言うな。」


一体何処の誰に毒されたのか。俺が頭を押さえて溜息を吐くと、それが怖かったのか空はビクンと肩を震わせた。
…大学では俺以外の奴と喋っている所は一度も見たこともない。というより空は今でも俺以外の奴とまともに話せない。そんな奴がどうやって女とヤるんだよ。しかも3Pなんて…。



「……で?」

「…何?」

「お前にそんな事教えたのは誰だよ…?」


場合によってはそいつ殴る。
空は基本大人しくて従順だが、一度言い出すと俺が何を言っても聞きやしない。言い聞かせるのは非常に面倒だ。これが空以外の人間であれば捨て置くのだが、…俺は何故かこの馬鹿を放っておけない。
もう一度誰から3Pなんて単語を教えてもらったのか訊ねれば、空は数回首を横に振った。



「別に誰も居ないけど」

「…なら、何で」

「興味、あったから…」

「興味本位ですることじゃねぇ」

「…一回だけ、一回だけでいいから」

「…………、」


何で三人でヤることに拘るのだろうか。
何か深い意味があるのかもしれねぇが、今の空からはその理由を聞けそうにはない。



「お願い、陸…」

「…………」

「一回だけだから…」



もしかしなくても、空と女、そしてもう一人の相手は俺だと空の中で勝手に決まっているのだろう。



「…そんなにヤりてぇなら、他の奴に頼め。」

「や、だ…、陸がいい。」

「…………」

「俺には陸しか居ないことくらい、知ってるだろ…?」


空は俺を扱うのが上手いと改めて思う。無自覚で言っているのだろうが、それが尚更性質が悪い。
「俺しか居ない」という優越感…。これが空を放っておけない一つの理由だと思う。




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