短編集 | ナノ

 12-6





「誘うようにヒクつかせやがって…」

「ん、っぶ…ふァ」

「こんなの間近で見せられたら、もっともっと苛めたくなる」


辱められるのも、苛められるのも、もちろんどちらも嫌だ。だけど先程先輩が自分で言っていたように抵抗すればするほど東堂先輩を煽る結果となるんだろう。
それならいっそ何も喋らず、抵抗せず、行為に没頭すればいいのでは、と俺は考えた。
それに東堂先輩を気持ち良くしてあげたいという気持ちはもちろんあるし。…一時の羞恥に耐え切れればいいだけの話なのだ。


「っん、く…はふ…」

そう考えて、俺はより丹念に先輩のペニスをしゃぶった。銜え込んだままぎこちなく舌を動かし、裏筋を舐めれば、嬉しい事に先輩のペニスが口内でドクンっと脈を打つ。


「…は、っン…ん、ン」


その事に調子に乗った俺は、より積極的に舌を動かしてみた。そうすれば先走り汁が溢れて口内に苦味が広がる。だがそれも俺を興奮させる材料となるだけだった。思わず先輩に掴まれたままの腰を振ってしまった。


「…っ、」

その事について先輩からまた何か言われるのかと思い身構えたのだが、先輩は何も言わず俺のお尻の穴を再び舐め始めてきたのだ。


「ひ…っ?!ぅあァッ」

しかも今度は舌だけではない。
グネグネと蠢く舌と一緒に、指先で穴を弄られる。いきなりの事にびっくりしてしまったが、恥ずかしい事にそれよりも俺は感じてしまった。


「っァ、ぁあッ、んぅ」


な、何で…?
俺、男なのに…っ。


「や、ゃ…っ、やめッ」

「こら、暴れんな」

「…っ、ぅ」


軽くだったけれどお尻を叩かれて怒られてしまい、俺はそれ以上何も言えなくなってしまった。でもやっぱり東堂先輩から与えられる刺激が少し怖い。


「ん、っ…ぁ、ぁふ、」


唾液の滑りを借りて先輩の指は皺を伸ばすようにいやらしく動く。あと少しでも指に力を入れられたら中に入ってきそうで、その事にもどかしさと恐怖を感じる。
このまま、先輩のゴツゴツした男らしい指で強引に中を掻き回して欲しいという浅ましい欲もあるが、やっぱり痛みを伴うと思うと怖い。


「は、ッく…ン、東堂、せんぱ…っ」


もう先輩の物を銜えて愛撫する事など出来そうにない。噛んでしまいそうだし、それに上手く力も入れられない。ただ握るだけしか出来なくなったそんな俺を見て、東堂先輩は笑った。


「もも」

「…っ、ンッ」

「ここも、気持ち良いだろ?」

「ん…ァ、…きもち…ッ」

「我慢せずにイっていいぜ」

「ひぁァ?、っ、ン、そんな…したら、っ」


お尻の穴の周りを執拗に二本の指でなぞられ、くすぐったさと何ともいえない快感に、身体がゾクゾクとする。


「っ、ァ…ゃ、出ちゃ…ン、ァぁあッ」

しかも痛いほど勃起したまま放置されていたペニスを銜えられ、そして舐められれば、俺はもう我慢など出来るわけもなく、呆気なく東堂先輩の口の中に精を放ってしまった。


「…はぁ、…っ、は」


口の中に出しちゃってごめんなさい。と謝罪したいものの、息が整わないし、射精後の気怠さで上手く声に出来ない。


「せ、んぱ…っ」

「もも、俺も出すぞ」

「…ん、」


俺の拙い口淫で射精まで導けたのかと思うと嬉しい。先輩が俺のを飲んでくれたように、俺も口の中で東堂先輩の熱い精液を受け入れて飲み込みたいと思い、再び先輩のペニスを銜えようとすれば、すぐさま制止の声を掛けられた。


「待て、もも」

「…え?」

「飲んで貰うのも嬉しいが、…こっちで受け止めてくれ」

「え、っ…先輩、…わ、ひゃっ…?!」


俺の身体を少し持ち上げて、先輩は横になっていた身体を起こした。一方の俺はというと先輩に腰だけ掴まれたままなので、四つん這いのような体勢になっている。


「せ、んぱい?」

「…もも、」

「っ…、」


一際低く熱の篭った東堂先輩の声。その声からは先輩が欲情してくれているのが分かる。
もうそろそろイくのかな?俺は一体何処で受け入れればいいのだろうか、などと不安と期待を抱きながら思っていると、先程散々弄られたお尻の穴に先輩の熱いペニスを宛がわれた。


「…ひ、ァ…?」


まさか…、と思った時には遅かった。
先輩は俺の腰をより強く掴み直して、先端部分が入り込む寸前の所で、精を放ったのだ。


「ァ、…熱ッ、」

「く、…は、」

「はぁ、ん」


驚きはしたものの、嫌悪感などは全くない。それにまるで東堂先輩とセックスをしているようで心地が良い。


「ん、は…ぁ」

「もも…」

「せんぱいの、熱い…、」

「こら、煽るな」


困ったように笑う東堂先輩もまた一段と格好いいと思っていると、軽くキスをされた。


「…っ、ん」


その軽いキスは段々と深いものに変わっていき、あまりの気持ち良さに思考すらも奪われてしまった。

だからここが学校だという事を思い出したのは、それから20分後だった…。




END



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