それは本当に蚊の仕業?








朝目が覚めると、昨日と同じように高瀬からメールが来ていた。


内容も昨日と同じ。「おはよ」の一言。
やっぱり高瀬らしくて、俺はまた笑ってしまう。
すぐに俺も「おはよう。」と返事をして、顔を洗おうと洗面台の前に立つと、昨日の朝にはなかったものに気が付く。






「ん?…何だこれ?」






虫刺され?
首元に蚊に刺されたたような赤い痕が出来ているのだ。






「蚊かなぁ…?」




でもこの時期に蚊は早いよなぁ。
何だろう?…変な虫だったら嫌だな。



だけど痒くも痛くもなかったため、俺はその痕を特に気にすることなく、朝飯と弁当作りに励んだ。















__________







「…おはよう。」






「……はよ。」




今日こそは高瀬より俺の方が早く来てみせる!…と意気込んで早く登校したのに、高瀬はもう席に着いていた。



くそ……、一体高瀬は何時に学校に来ているんだ?
絶対明日は俺が早く来てやる!

……って、高瀬は何で早く学校に来ているんだろうか?
別に何をするわけでもなくて、ずっと席に着いてるし……。






もしかして、





………俺と、









……って、ばァか!
何言ってるんだ自分で?!
自惚れてるんじゃねぇよ、自分!

…お、俺なんかのために高瀬がこんな早く来てくれるわけないじゃんか!




ま、…まぁ、俺のために本当に早く来てくれているのなら、凄く嬉しいけど……。






「……って、…な、何?」




脳内トリップしていると、高瀬の視線を感じて俺は高瀬に訊ねる。


…も、もしかして今の内容口に出してた?
ち、違うよね?





…と、少しドキドキしていたら、高瀬の視線が俺の目より少し下だということに気が付いた。


何処見てるんだ?

……首?






「あ、…この痕のこと?何か朝起きたら付いててさ、蚊に刺されたのかもしれない…。」





「ふーん。」




俺の言葉を聞くと、高瀬は少し楽しそうにニヤニヤと笑っている。
…な、何だ?
一体どうしたんだ?







「……この時期に蚊なんているのか?」





「うーん、…俺も思ったけど、蚊以外に考えられなくて…。」




もっと変な虫だったら、凄く嫌だから想像もしなくない。






「…くっきり付いている。



……その蚊は余程お前のことが好きらしいな。」







「………へ?」





高瀬の言っている意味がよく理解出来なかったけど、高瀬が物凄く嬉しそうにその痕を眺めているので、俺も釣られて笑った。




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