「…………、」
妙な熱さに、意識が戻る。
…どうやら少しの間、気を失っていたようだ。
大事なところで意識を失ったことは覚えている。
…覚えているからこそ、自分の不甲斐無さに嫌気が差す。
今日こそは本当に最後まで仁湖を抱くつもりだった。
だけどまさかあんなに煽られるとは思ってはいなかった。
仁湖の全てが可愛かった。
仁湖の全てが愛おしかった。
仁湖の全てが、
…俺にとっては目に毒だった。
熱に侵されていたため、自分が少し強引で荒々しくなっていたことは認める。
…それに加えて、仁湖の無自覚の煽り。
自分で身体を弄っていたときは、本当に理性の糸が切れた音が聞こえてきたのを覚えている。
泣きながら涙を零して、口端からは飲みきれなくなった涎を零しながら、本当に気持ち良さそうに喘いでいた仁湖。
「……ン、ぁ」
……そう。
今のような、可愛らしい声で。
「ン、っ、んぐ…、」
……?
何でまだリアルタイムで仁湖の喘ぎ声が聞こえるんだ?
喜ばしいことだが、…俺はまだ夢でも見てるのか?
そう思って、熱のだるさから瞑っていた目を開ける。
「…………っ、」
…するとそこには、本当に夢のような光景があった。
「ン、…っ、ふ、たかせ…っ」
俺の勃起したチンポを、顔を真っ赤にしながら銜えている仁湖の姿が…。
「っ、…ぶ、んぐ…、」
…確かに違和感はあったが、それは気を失う前にイけなかった所為だろうと勝手に思っていた。
それなのに、現実は俺にとっては喜ばしいことであり、…また本当に目に毒だと思った。
でも、あの仁湖が、…恥ずかしがり屋な仁湖が自ら俺の物を銜えているとは。
そう考えるだけで俺の物は、仁湖の口の中で更に大きくなる。
「ァ、ンっ、…ぐ、」
苦しそうに呻る仁湖の声が聞こえる。
…だけど根元まで銜え込んだチンポを口から出すことはなく、眉間に皺を寄せながら、ジュポジュポと卑猥な音を立てながらしゃぶる仁湖。
……一体どういう経緯からこうなったのかは分からない。
恐らくは自分だけイって、射精せずに気を失った俺を思ってのことだろう。
優しい仁湖のことだから、きっとそうだ。
「ぁ、…ン、たかせ…、」
しゃぶりながら、喘ぎ混じりの仁湖の可愛い声で名を呼ばれれば、理性も崩壊の一途を辿る。
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