「ひっ…?!」
“凶悪な獣を覚醒させてしまったのかもしれない。”
そう瞬時に思った。
皮も肉も骨も、…全て喰い付かれてしまいそうなほどの気迫と鋭く熱っぽい目付き。
思わず、悲鳴の様な声を出してしまった。
「…ぁ、…ゃっ」
……怯えた態度が、更に高瀬のサディスト心を煽ってしまったのか、高瀬は俺の手を退かすと、乳首を歯で噛んできた。
「い、痛ァ、…ひぁ、ァっ」
「…痛いじゃねぇだろ?気持ちいいって言ってみな。」
「ぁ、ゃ、…い、痛いの…、駄目ぇ」
「……悪い子だ。」
「んっ、ゃぁああァ…」
あまりの痛みに高瀬の言葉を聞かず、何度も何度も「痛い…」と繰り返す俺に高瀬は気を悪くしたのか、根元を締め付けているペニスへの圧迫感を更に強めてきた。
泣き喘ぐ俺を見て、高瀬は何処か嬉しそうな笑みを浮かべている。口角を上げて雄の目を俺に向けてくる高瀬は、本当にサディスティックだ。
「……も、許して…っ」
「恋人に言う台詞じゃねぇぞ、それ。」
クク…っ、と喉で笑う高瀬。
…駄目だ。そんな鬼畜な笑い方すらも格好いいと思ってしまう俺は、もう末期だ。
…だけど本当にいつもの高瀬じゃないみたい。
普段はもっと優しくて、紳士で、俺の事を第一に考えてくれているけど、…熱に侵されて何かのスイッチが押されている今の高瀬は、…凄く乱暴的で意地悪だ。
「……た、かせっ」
「何だ?」
「も、…限界だって、…ン、っ、さっきから言ってるのに…ぃ」
焦らされるのは嫌だ。
…早く溜まりに溜まった精液を出したい。
きっと我慢した分、快楽が凄いんだろうなぁ、と思うと堪らなく興奮する。
しかし射精するには、高瀬からの許しを貰わないと駄目みたいだ。
俺は泣きながら必死に懇願する。
「お願い、…も、イかせて……」
ポロポロと頬を伝う涙と、口端から零れ落ちる涎がうっとおしい。
それを無視して、呼吸を乱したまま、高瀬にお願いをしてみる。
……すると高瀬の喉仏が、大袈裟に動いたのが見えた。
「……いいぜ。」
「…ほ、本当…?」
「あぁ、たくさん出せよ仁湖…。」
「……ひゃ…、」
開かれた脚を更に左右に開かれ、羞恥で体温が上昇していくのが分かった。
……だけど太股に触れた高瀬の手の平と舌の方が、より熱く感じた。
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