あの永遠とも思えた破廉恥な行為が終わってから、俺は強すぎる快楽に何度も射精した所為か、身体を上手く動かせず居た。
だって精液が水のような液体になるくらいまで、快楽を与えられたのだ。疲労で動けるわけがない。
俺は目を閉じて、息を整える。
「……はぁ、…っ、…」
「……は、……仁湖、」
高瀬も俺と同じように息を乱しており、ベッドに横たわっている俺を真上から見下ろしながら、俺の汗ばんだ髪の毛を優しく撫でてくれる。
先程の獣のような行為をしていた、同一人物とは思えないほどの優しい手付きに、あまりの気持ちよさで眠たくなってくる。
「…少し寝てろ。」
「ううん、…大丈夫。」
そして高瀬はそんな俺に気が付いたのか、俺の髪の毛を撫でながら、「休んでいろ。」と言ってくれた。
お言葉に甘えたい所だが、何だかこの気持ちの良い空間をもっと味わっていたくて、俺は高瀬の申し出を断った。
「…あ、のさ…、」
「ん?」
「…高瀬が言いたかったのは、…そ、その、今した素股?…、ってやつじゃなかったんだろ?」
「……あぁ。…俺が思っていたのとは違ったな。」
「…嫌だった?」
「…?」
「その、…俺と、…今みたいなことするの?」
俺は死んでしまうかと思うくらい気持ちが良かったし、高瀬と触れ合えて凄く嬉しかった。
…でもそう思っているのは俺だけなのかもしれないと思ったら、凄く不安だ。
「…馬鹿だな、仁湖は。」
「…な、何だよ?!」
不安に陥っていたところで、高瀬に喉で笑われて、俺は口調が乱暴になってしまう。
「嫌なわけねぇだろうが。」
「で、…でも、違ったんだろ?嫌じゃなかったのかよ…?」
「むしろ仁湖に触れるきっかけが出来て、凄く嬉しかった…。」
「……きっかけ?」
高瀬にそう訊ねると、高瀬は少し言い難いのか、俺から視線をずらして、ポツリとこう呟いた。
「……俺は仁湖と付き合う前から、こういうことをしたいと思っていた…。…だが、ずっと上手く実行に移せなかったから、…今日念願叶って、すげぇ嬉しいんだよ…。」
段々と赤くなってくる高瀬の頬を見て、感染してしまったかのように、俺の頬も熱くなってくるのが自分でも分かる。
「…ず、ずっと、…って、それっていつくらい前から?」
「……それは…、
……教えねぇよ。」
高瀬は俺から視線を外したまま、「それを言うと俺がいつから仁湖に惚れていたのかバレてしまうじゃねぇか…。」と、本当に恥ずかしそうに言うと、照れ隠しなのか、俺の髪の毛を乱暴に掻き回してきた。
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