enst

さむかったので鬼龍先輩が



「えっ 双葉ちゃん、タイツ履いてるの…?」


寒い冬の朝、声をかけてきた羽風先輩は第一声にこう言った。
さすがに生足を出しているのがきつくなったのでタイツを使用し始めた。寒さに勝てず、教室でもブランケットを掛けている。ぐるぐる巻きにして使用しているし、お弁当を作った日には魔法瓶に温かいスープもつけているくらいだ。
そんななか羽風先輩は私のタイツを見た瞬間、萎えた表情をした。は?

「悪いですか」
「ええー だって、女子高校生の生足だよ?出さないの?」
「バカじゃないですかこの寒い冬に。私は無理です」
「たんぽぽちゃんは生足だったよ」
「そこであんず出します?????」


確かにあんずは寒さも関係なくタイツは履かず、ソックスで過ごしている。それなりに寒いらしいが私ほどではないらしい。
だが羨ましいと思ったことはない。私はタイツを履く。譲れない問題だ。


「お、双葉の嬢ちゃん」
「鬼龍先輩!おはようございます〜」

羽風先輩と話しているうちに、後ろから鬼龍先輩がやってくる。近くの羽風先輩にも声をかけていた。


「そういや寒がりだったろ。ほら、これやる」

手に持っていた紙袋を渡され、中身を見てみる。可愛らしい柄だなと思っていたら「だしてみろよ」と言われたので遠慮なく袋から取り出した。


「ブランケット〜〜〜!!」
「うわ、すごい暖かそう」

とりだし、広げてみれば可愛らしいデフォルメの動物が描かれたブランケット。しかも裏地は肌触りの良いもこもことした素材。
羽風先輩もびっくりしていた。めちゃめちゃ暖かそうだなあ。


「教室でも足に巻いてんだってな。上も寒いって言ってたって聞いて、それ使ってくれ」
「ありがとうございます!」
「寒いもんな。冷やすなよ」
「はい、このブランケットで冷やしません!」

女子にこんな気の使ったことできるなんてさすがだ。感動した。
それに比べてこの寒い中、タイツを履いて登校したことに文句を言う先輩が同時に存在しているなんて。


「羽風先輩も見習ってください」
「えっ」


―――――――
羽風もちゃんとすきですよ…



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -