初恋はT
今日は宇宙にきてはじめてのオフだ。

「井吹!」
「ん?…あぁ、神童か。なんか用か?」
井吹宗正。ギャラクシーイレブンのゴールキーパーだ。はじめはほんとに気に食わなくて衝突ばかりしていた。ついこの間にあったアジア予選決勝で和解したところである。
「いや、今日はオフだが午後から剣城と自主練するときいてな。
良かったら俺もまぜてくれないか?」
「いいぜ、一時にブラックルームにあつまる約束してるんだ。」
「そうか、ありがとう。」

この約束が、俺の初恋につながるなんてこの時は思いもよらなかった。





「はぁぁっっ!!!」
ブラックルームに足を踏み入れると既に井吹はいて、プログラミングの白竜のシュートをうけていた。いまではしっかりとめているが、はじめは止めきれずゴールに体ごとぶち込まれていたのは記憶に新しい。
「井吹。」
プログラミングを一旦とめて神童は井吹に話かけた。
「神童。 あれ、剣城は?」
「あぁ、剣城ならさっき天馬に話があると呼ばれたから遅れてくるみたいだ。」
「そうか、じゃあ神童はじめようぜ。」
二人で一時間ほどしたころだった。
神童のスマホにメールがはいっている。
『神童さん、井吹
約束したのにすいません。天馬がついつい溜め込んだ数学が終わりそうにないので、今日は行けそうにないです。また、埋め合わせでもします。すいません。』
剣城からだった。どうやら天馬の地球での課題を見てやってるらしい。
「キャプテン、まじかよ。」
「そういうお前はどうなんだ?」
一瞬硬直した井吹を、俺は見逃さない。
「へ? や、やってるよ。」
これはなにか隠してる顔である。
「それなら安心だな。さすが……で?ほんとは?」
「ヴっ…す、少し英語が…」
やっぱり、サッカー食べる寝るで生活している井吹が終わっているわけがないと思っていた。俺はため息を少しつく。
「…っ、やるよ、ちゃんと。」
「わからないからためてるんじゃないのか?
……少しなら教えてやってもいいが?」
ちょっとためてから井吹に提案してみる。
「…!いいのか!?」
「あぁ。」
「っよし!!」
座っていた井吹が立ち上がった瞬間だった。
「お、い!!井吹!足も…」
「へ?」
足元にはいつくかのボールとさっき飲み干したのであろうペットボトル。
注意したときには井吹は完全にボールに足をひっかけていた。
立っていた俺はとっさに手をのばし、井吹を引き寄せたものの、たってはいられなかった。
「…っ!!!」
そのまま井吹を引き寄せつつ、転んでしまう。
その時感じたのは唇に少しかわいた柔らかい感触。
「「っ!!!!!」」
偶然だったとはいえ、一瞬、ほんの一瞬だが俺の唇にかすめたのは井吹の唇だった。
「なっ、なっ、しんどっ…」
「わ、わるい、」
「いや、おれがこけたのがそもそも…」
二人ともうつむいて、謝る。少しだけ先に顔をあげた俺の視界にはいったのは真っ赤に赤面した、井吹の顔だった。
「ご、ごめん、神童。お、おれ用事思いだして、あの、片付けしといてくれるか?」
そう言うと井吹はさっと立ち上がり部屋から出ていってしまった。
「俺が、片付るのか…
まったく、人の返事を聞かずに…明日の練習の片付けはやらせてやろう。」

そういいつつ立ち上がった俺の心臓ははやいばかりだった。




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