6.恩人へのお礼回り
私は近藤さんより許可を貰い、万事屋にお礼を言いに来ていた。あと、下のスナックで働いている傘を貸してくれたたまさんにも...。


私がいなくなったあと、真選組総出で私を探したらしい。その時、1枚絡んでいると万事屋に目星をつけ、事の詳細を銀ちゃんたちから聞いたらしい。お世話になったならしっかり「ただいま」と言っておいでと言われた。


今更気づいたけど、私がこの世界に戻らないと、依頼完了の報酬貰えないことを銀ちゃん達は気づいてないだろうな...。


戻らなかったら1ヶ月分の給料のみだけだよ。



ピンポーン


万事屋へ上がる前に下のスナックへいき、傘を返しお礼のお茶菓子は渡してきた。あとはここだけ。


にしても、今10時なんだけど...何時まで寝てんの、あのクソ天然パーマ。


ピンポーンピンポーン


私は容赦なくインターホンを連打する。


きっと起きては居たのであろう、誰かの足音が聞こえる。


きっと銀ちゃんかな?


銀ちゃんはよく飛び蹴りとかするとか神楽言ってたなー。煩いときは特に...


「...うっせぇーんだよ!!クソババア!!」


ほんと、聞いてた通りだ...。というか、この天パお登勢さんにもこんなことしてんの?人間性を疑う。


「あり?」

「おはよ、銀ちゃん」

「え...?」

「帰ってきちゃった」

「は??え??なるちゃん?いや?は??何、今の?何今の台詞!?もう1回言ってみ?ちんちくりんのお前のこと可愛いとか銀さん思っちゃったんだけどぉ!?ねぇぇ!?」


目の前に現れた私に驚く銀ちゃん。今嬉しいような、失礼なような言葉が聞こえたけど、気にしないことにしよう。




「とりあえず、万事屋のみなさん。依頼成功しました!ありがとうございます。はい、これ報酬の私の給料3ヶ月分」

「あ、どうも...じゃなくて、お前」


あのあと銀ちゃんに中に入れてもらい、リビング兼応接間にあるソファに腰掛ける。その向かいには銀ちゃん、神楽、新八くんが座る。私の近くには定春が遊んでほしそうに座っている。可愛いな、定春。


「なるさん、元の世界に戻ったんですよね?」

「うん、戻ったよ」

「いいんですか?」

「それ、近藤さん達にも聞かれた。...いいんだよ、私1週間しか元の世界にいなかったけど、ここで、この江戸で生きたいって思えた」

「なる...」

「私が戻らないと、その報酬は支払えなかったしね」

「...たしかに」

「あと...」


沖田さんが好きだからって言ったら3人はどんな顔するかな?神楽はすごい嫌がりそう。


「俺の事が大好きで大好きで夜も眠れないらしくて帰ってきたらしいですぜ」

「お、沖田さん!?」

「総一郎くんさァー、いい加減気配消して上がりこむのやめてくんない?」

「旦那、総悟でさァ」


突然肩に置かれた手は、こっちの世界に戻ってくる理由の大半を占めていた相手だった。


銀ちゃんの言う通り、沖田さん気配消して人の後ろに立たないで欲しい。まじで心臓に悪いんだよね、この人。神出鬼没すぎて...。


「何言ってるアルかなるは私に会いたくて帰ってきたネ」

「残念だが俺に愛の告白してきたときチャイナの名前なんてでてこなかったぜ」

「それはお前の妄想ネ」


胸倉を掴みあってケンカを始める沖田さんと神楽。


「なるさん...アレ止めてください。万事屋壊れます」

「私が巻き込まれそう...」


でも私が止めるしかないのかな、でもあの殴り合いに私がいって、私殴られない??殴られたら1発で昇天だよ


「沖田さん!神楽ストップ!」


私は沖田さんの方を向き、2人の間に入り込む。


「神楽とは約束したこともあるから会いたかったし、沖田さんにも会いたかったよ...。なんというか、会いたいの種類が違うというか...。あと、沖田さん、神楽女の子だからその、あんまり顔近づけないで欲しい...」

「.....」

「なる顔真っ赤アル!」

「い、言わないでよ!」


最後に沖田さんに言った言葉はただのヤキモチである。


「何お前らやっとくっついたの?イチャつくなら自室でやりなさい!」

「え?お父さん?」

「お父さんじゃありません!!お兄ちゃんです!」


突然キャラ設定を作り出した銀ちゃん。マジでなんなの、銀ちゃん。


「つーことで、チャイナ、なるは俺のモンなんで気安く触ったら殺す」

「はっ!私となるの仲舐めんなよ...。私なるのおっぱい揉んだことあるネ!もの凄い柔らかいし、スベスベモチモチネ!触り心地抜群アル!」

「ちょっ!」

「マジでてめェぶっ殺す」


折角落ち着いたと思ったのに神楽が沖田さんの火に油を注ぐ発言をしたため2人のケンカは先程よりも酷くなってしまった。


「銀ちゃん、新八くん...。私にはもう無理です」

「ま、今のは神楽が悪ぃな...。にしてもなるちゃんと沖田くんがねぇ...。ま、頑張れよ」

「頑張るって何?」

「ナニってナニだろ?アイツもドSだからなるちゃん散々啼かされるだろうな...」


銀ちゃんはなにかを想像し、鼻の下を伸ばしニヤニヤして私をみる。え?コレってセクハラでは?


「ま、なるちゃんよォ、アイツに飽きたら俺が慰めてやんよ」

「え?」


ん?今のどういう意味なの...



「旦那ァ、なるで変な妄想しないでくだせェ。俺、まだ手も出してねェんで。あと、どさくさに紛れて口説かねェでもらえやす?」

「おいおい、突然刀投げるとは物騒ってモンよ。あと最後のは冗談だよ、冗談」

「今のは銀さんが悪いですよ。アンタさっきの顔セクハラ親父の顔してましたよ」



沖田さんが神楽とのケンカを終え、銀ちゃんに向かって投げた刀を回収し私の手をとる。ってか刀投げんなよ、一応近くに彼女いんだぞ。


「帰りやすぜ、セクハラされまさァ」

「銀ちゃんサイテーアル。しばらく私に話かけないで」

「ロリコン最低ですね」

「ロリコンじゃねぇよ!!」

「はは...3人とも本当にありがとう!お世話がせしました!」


私は沖田さんに引っ張られる形で万事屋を出る。


万事屋って本当に馬鹿だけどら笑いをくれるからなんだかんだ好きだな。


「沖田さん、迎えに来てくれてありがとう」

「さぁな」






恩人へのお礼回り
(屯所帰ったら胸揉ませろ)(...嫌です)

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