「ど···どうしよう!!近藤さんが!!···このままじゃ近藤さんが···暗殺される!!土方さん!なるさん!」
新八くんが私と土方さんに呼びかける。
近藤さん、暗殺···やっぱ現実になるよね。
「なるさん、知ってたんでしょ!?」
「本当に暗殺されるなんて思わなかったし、私は一応土方さんと沖田さんには早々に忠告したよ!」
そう私はあの時、ファミレスで確実に言った。まぁ、その時土方さんは自分がこうなることは予想はしてなかったから、あの時は鼻で笑ったのであろう。
「銀ちゃんどうするアルか?」
「···神楽、無線を全車両から本部まで繋げろ」
「あいあいさ」
いや、神楽それ繋いでない、壊してる。
神楽は無線のスイッチを押すのではなく、破壊した。
「あーあ、もしもーし、聞こえますかー。こちら税金泥棒、伊東派だがマヨネーズ派だがしらねーが、全ての税金泥棒どもに告ぐ。今すぐ今の持ち場を離れ近藤の乗った列車を追え。もたもたしてたらてめーらの大将首取られちゃうよー。こいつは命令だ。背いた奴には士道不覚悟で切腹してもらいまーす」
「イタズラかァ!?てめぇ誰だ!!」
「てめっ誰に口きいてんだ。誰だと?真選組副長土方十四郎だコノヤロー!!」
銀ちゃん、いつも私たち真選組を気に食わないとか言う癖に···。
「腑抜けたツラは見飽きたぜ。丁度いい真選組が消えるならてめーも一緒に消えればいい。墓場まで送ってやらァ」
銀ちゃんは運転を放り投げて土方さんの胸倉を掴む。即座に助手席にいた神楽がハンドルを握る。
神楽、車運転できんの?
「てめーが人にもの頼むタマか。てめーが真選組他人に押しつけてくたばるタマか。くたばるなら大事なもんの傍らで剣振り回してくたばりやがれ!!それが土方十四郎だろーが!!」
「···ってーな。痛ェって言ってんだろーがァァァ!!」
「···!」
説教していた銀ちゃんを土方さんが頭を掴んで押し倒す。あのヘタレになってしまった土方さんが!?ううん、この感じはまさか···
「土方さん···?」
「あぁ?やっぱてめぇも巻き込まれてたか」
「戻ったんですか···」
「さぁーな」
いつもの土方さんに戻ったなら、この戦い、負けない。
「急ぎましょ!」
「飛ばすネ!キャッホーイ!!」
神楽は車の運転に慣れたのかアクセルを思い切り踏みスピードを上げた。土方さんはパトカーに備えられていた隊服に着替え始めた。
「いいなぁー、私も着てみたいアル」
「神楽サイズないでしょ?」
「お、俺隊長クラスのこれにするわ···。神楽丁度いいサイズあったぞー。新八ぃー、おめェは平隊員な···。うん、よく似合ってるぞー。なるちゃんはそのままな」
「なんで僕だけ平隊員なんスっか!?僕も隊長クラスの隊服がいいですよ!」
「新八のクセに生言ってんじゃねーヨ!」
「理不尽ンンンん!!」
神楽が着用してるいる隊服はきっとお通ちゃんが着ていたやつだろうな。
車の運転は平隊員志村新八隊士に変わっていた。あ、新八くんがなんかツッコミいれたけど、無視が1番。新八くんの運転はスピードはあるけど神楽と違って安全運転だ。さすが眼鏡!
「いや眼鏡関係なくね?」
私たちは、近藤さんが乗っている列車に追いついた。
「銀ちゃんアレ!!」
「よし!てめっ!パトカーの上に乗れ!」
「い、イヤでござる!!」
土方さんは隊服を着た後、すぐにトッシーに戻ってしまった。
「そういえばなるさん、沖田さんはどうしたんですか?」
「沖田さんは···あの列車の中にいる」
「伊東派に!?」
「そう言う風に言ってる人がいるけど、あの人は···沖田さんは、ただ土方派って言われるのが嫌だし、何より近藤さんが全て。近藤さんの隣に立ちたいって思ってる···だから、近藤さんは大丈夫、暗殺なんかされてない」
「ゴリラが無事でも奴は死ぬかもしれないネ」
神楽の言う通り、近藤さんは無事でも沖田さんが無事であるという確信はない。あの人は近藤さんのためならその命捨てれる人だ。
沖田さんが死ぬのなんて絶対嫌···。
「沖田さんは死なないよ···」
私は不安に思う気持ちに喝を入れるように言葉を発した。
「よっしゃテメェらやるぞ」
銀ちゃんはバズーカを構え、神楽は番傘の銃口を周りを走る車に向ける。
伊東派の仲間には攘夷浪士も含まれていた。それこそ、局中法度を破っている。自分の美学を守るため、敵も利用するってか···。そんなの馬鹿げてる。
あーあムカついたから私もバズーカ撃とう。
結構バズーカ重いんだな。
「御用改めであるぅぅぅ!!」
「てめーらァァァ神妙にお縄につきやがれ!!」
「2人とも珍しくかっこいいよ!特に銀ちゃん!」
「はァァ!?俺はいつだってかっこよくてイケメンだろうがァァ!」
珍しくかっこよくて見えた銀ちゃんだったけどさっきの台詞で台無しだ。
黙ってバズーカ撃てばいいものの。
「あ!土方さんあぶな「いってェェェェ!!」」
ヘタレオタクトッシーが普段の土方さんのように格好よく決めていた所に木の枝が近づいてきたため、私は声をかけたが遅かった。
結局、一瞬だけ土方さんに戻ったが痛みに負けトッシーはパトカーの屋根にしがみついている。
「土方さん!しっかりしてくださいよ!!マヨネーズ噴射しますよ!!」
「マヨネーズだけはァァ!潮崎氏ぃぃぃぃ!!」
買い出しで購入したマヨネーズを人質に土方さんの士気を高めようとしたが、変にマヨネーズへの命乞いをしたので私は、土方さんへ蔑んだ視線を向け、マヨネーズを敵に向かって噴射した。
「お、なるちゃんやるじゃねぇーの」
「なんかムカついたんで···。あと沖田さんのおかげですね」
私はそう言い、並行している列車を見る。
「···あ」
沖田さん···。
列車の窓から見えたのは沖田さんと伊東さん。そして伊東派と呼ばれる隊士複数名。一瞬だけ目が合った沖田さんは少し驚いていたが、すぐにいつもの笑みに戻って敵に視線を戻した。
1人で···闘うのだろうか。
死なないで···沖田さん。
戦場に現れた鬼
(新八くん!安全運転してよ!!)(できるかァァァ!!)