キャバクラにやってきたのはこの国の上に立つ御方、征夷大将軍徳川茂茂様。
なんでここに?
「なるちゃんじゃねぇーの」
「お久しぶりです」
「なるちゃんは総悟のコレか?」
松平のおじさんに早々に絡まれてしまった。それも小指立ててコレか?って古くね?
「ち、違いますよー」
付き合ってもいないです。ただの下僕です。今日だって仕事中沖田さんの布団の片付け命じられたし、土方さんを殺してこいだの言われたし。
「なるは私の隣ネ!」
何故か神楽に指名され私は神楽の隣に座る。お酒は飲めないので神楽とコロナミンCやらオレンジジュースやらコーラを飲んでいる。
「酔いも回ってきたし、じゃそろそろ将軍様ゲームぅぅはっじまるよー!」
ドンドンパフパフ!
うわ、でた。絶対服従しないといけないゲーム。
「よーしじゃあ始めるぞ。ホラ早いもん勝ちでくじを引き抜き...」
松平のおじさんが割り箸で作ったくじを引かせようとすると私と銀ちゃん新八くん将軍様以外のメンバーが殺気全開で将軍狙いにいってて正直いって、引いた。命かける程なのか、将軍様ゲームって...。
新八くんが散らばった割り箸を集めて再度くじをひく。超人だらけの将軍様ゲーム、死人が出るだけじゃん。松平のおじさんは伸びてるし。
「あー私将軍様だわ」
将軍様を引いたのはオネエ口調のパー子さん。
「えーとじゃあ4番引いた人下着姿になってもらいますぅ」
下着姿って銀ちゃんそれある意味セクハラ...。4番引いたのは将軍様...
えぇーマジでか、将軍様白ブリーフ派なのか。
「銀ちゃーん、私もう無理なんだけど。帰っていい?帰っていいよね?」
「耐えろ...ここは耐えろ...」
次の将軍様はお妙さん。
「んーと、どうしよっかな。じゃあ私はァ3番の人がこの場で1番寒そうな人に着物を貸してあげる」
ンん!さすがお妙さん!人気NO.1キャバ嬢なだけある!!3番は...将軍かよォォォ!!え、まって、全裸じゃん。いや、まって無理、無理
「神楽ァ...」
「どうしたアルか?顔色悪いアル」
「いや、その...」
私は将軍様のモザイクがかかっている部分を見ないように将軍様をチラ見する。
「ああ、アレアルナ。なるは生娘だから見慣れてないアルな。イイヨイイヨ。気分悪くなったアルな。外の空気吸ってこいヨ」
「ありがとう...」
ここにいろヨとか言われるかと思ってたけど案外あの子は優しいんだよね。私は銀ちゃんと新八くんに頑張れの意を込めて親指を立て外に出る。後ろから「裏切り者!」「ビッチメイドがァ!」とかあられもないことを言われているのであとで銀ちゃんをシめる。
にしても、嫌なモン見た。天下の将軍様だけど、私にとってはイヤなもんだ。真選組には居るけど基本近藤さんが脱ぐ前には私はおいとましていることが多いのでセクハラの被害にはあってない。
外に出たら外の空気が冷たくて気持ちいい。気持ち悪かったのがスッキリしていく。
「あれ?なるちゃん」
「あ、近藤さん」
「もういいのか?」
「なんか気持ち悪くなっちゃって」
「たしかに顔色悪いな」
土方さんが腰をかがめて顔を覗き込んでくる。あ、タバコくさい。
「てめ、タバコ臭いって思っただろ...」
「はい!」
「元気じゃねぇか!まぁいい。おい、総悟」
「なんでィ死ね土方コノヤロー」
「やんのかァコラァァ!」
「ちょ!やめなさい!2人とも!もぉぉぉ!」
この2人護衛しててもいつも通りなんだな。
「あり、メイドさんがいるじゃねぇか」
私に気づいた沖田さんが近づいてくる。
「総悟、潮崎連れて帰れ。気分悪いんだと」
「いいんですかィ!いくぞ」
うわ、明らかに嬉しそう。私は沖田さんが運転するパトカーにて屯所へ戻ったのであった。
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「気持ち悪い...」
「顔白くしろって言いやしたけど、なに青白くなってんでィ」
「あんたの運転のせいでしょうが!」
警察とも思えない荒い運転で屯所に戻ってきたせいでさっきまで治まっていた気持ち悪さがぶり返してきた。うわ、吐きそ...
「っぎゃ!」
「色気ねぇ...」
突然後ろからスカートを捲られた。その時に出た声は全くもって色気のない声で...
「せ、セクハラですよ」
「なに言ってんでィ。メイドはご主人様の玩具だろ」
「いや、そっちが何言ってんすか。ってかスカート離してください」
「いやでィ!」
「なんで!」
沖田さんは私のスカートの裾を掴んで離さない。ってか衣装後日返しに行かないとじゃん。
「なる、スカート離して欲しかったらおかえりなさいませ、ご主人様って言ってみろィ」
「そんな趣味あったんですか」
「男なら1回は言われてみてぇもんでさァ」
ニヤニヤして私を見下ろす沖田さん。
これは言わないと絶対に離してくれないんだろうな。
「おかえりなさい、ご主人様」
心を無にして言う。
「...おい」
うわ、機嫌悪い...そんなに真顔で言ったのが悪かったのかな?
「早く言わねぇと脱がすぞ」
「...っ、なん、で」
「メイドってそういうモンでさァ」
「いや、絶対違う!」
ちなみに今、私たちは沖田さんの部屋の前だ。つまり私の部屋の隣。
「ちょ!」
いやいや、なんでこの人私に馬乗りになって押し倒してんの?え??は??
「10.9.8.7...」
「ま、まって、言うから!」
沖田さんは背中に腕をいれ、ファスナーを下に下ろしだす...
私は沖田さんの胸板を押し、少し小声で「おかえりなさいませ、ご、ご主人様...」と言った。さっきは心を無にしていたけど、今は切羽詰まっていたので、だいぶ羞恥心がある言い方だった。むしろ泣きそうになっていたかもしれない。
「.....」
なんで黙る、沖田さん。なんか言ってよ、沖田さんが言えって言ったじゃん!
「萎えた...」
「は?」
沖田さんは私の顔をみず、私の上からどいて、自室へ戻っていった。
まじで死ね沖田!!!
という声が屯所内に響いたのは言うまでもない。
キャバ嬢の精神力は鋼の精神
(お妙さんこの前の衣装返しに来た)(それなるちゃんが貰っていいわよ。沖田さんからお金貰ったから)(え...)