29.紅桜篇5
「一体おめェは何処に行ってたんでィ。そんなケガして...あぁ??」

「...すみません」

「謝って済むなら俺ら警察はいらねぇんでさァ」

「痛っ!」






船から脱出したあと、銀ちゃんと合流し私は万事屋に向かった。



万事屋では、お妙さんと定春が待っていた。お妙さんは1番重傷の銀ちゃんには目もくれず、私のことを1番に心配してくれた。


私なんて吹き飛ばされた時に出来た頭部の傷と擦り傷だけだ。あ、あと、高杉の刀で少し切れた首元の傷とその近くに付けられたキスマーク。


銀ちゃんはキスマークみて、ニヤニヤしてて、凄い腹が立ったので、1発傷口付近を殴ってやった。



万事屋で傷の手当てをして貰ったあと、万事屋の黒電話から真選組屯所に電話をかけた。



電話は近藤さんに繋がれ、近藤さんは私の声を聞くなり受話器越しからでも大泣きしてるいることがわかった。



「近くに巡回中の隊士がいるからむかわせる」と、言われたが誰が来るのかな。山崎さん辺りがいいな...って神楽とテレビを見て迎えが来るのを呑気に待っていたら、万事屋に現れたのは、今1番会いたくない沖田さんだった。



沖田さんは私の頭やら首、その他諸々の手当てのあとを一通り見て舌打ちをした。ひと睨みされて、「行くぞ」と言われ玄関を出る沖田さん。



「あ、待って沖田さん」



私は小さく「今度お礼するね」と言い残し、沖田さんの後を追う。そして冒頭の会話に戻るのだ。





「んで、お前なんでそんなにケガしてんだ?あと、首元のコレなんでィ」



屯所近く、誰もいない道で言われた。



キスマークを付けられたことは、沖田さんには絶対見つかるなとの銀ちゃんの忠告され、私はいつも団子にしている髪の毛を襟首で結んでキスマークを隠している。



なのになんでバレた!



「バレバレでさァ...。旦那に付けられたのか?」



長い長い屯所の敷地の外の塀に身体ごと沖田さんに押し付けられた。キスマークを隠していた髪を背中の方に逃される。



あれ?
これって壁ドンじゃね?って思ったけど、怖い。沖田さんの顔が怖い。


だって沖田さんの顔が今にも銀ちゃんを殺すって顔してるもん。



銀ちゃん今にも死にそうな傷負ってるから、すぐに殺されそう...じゃないわ。



「銀ちゃんじゃ...ない」

「じゃあ誰でィ...」

「た...」

「た?」



高杉晋助って言っていいのだろうか?でももう頭文字言っちゃったし、変な嘘ついても沖田さんには結局バレる。




「高杉..晋助...。ケガもその時近くにいた浪士にヤラそうになった。その時助けてくれて...」



後半嘘をついた。だって、高杉晋助のアジトの船に何も知らず乗り込んで捕まったなんて言えない.....



「ふーん」

「あとケータイ、充電切れちゃって...あのなんというか迷子になりまして...」

「は?」



突拍子もない私の返しに少し驚いた沖田さん。あ、その顔可愛い。なんて考えていたら頭突きされた。痛いし、涙でてきた...。



「それで...」

「それでっていうか沖田さん...顔近いです」


頭突きしたまま、両腕で私を逃がさないようにしている沖田さん。めっちゃ近い。


「迷子になって道わからなくて...沖田さんに助けて貰おうとはしたんです。充電切れててそれは出来なかったんですけど...」

「へぇ...」



あ、さっきまで怒ってたのに、少し機嫌良くなった。少し分かりやすいかも...。



「でも、気に食わねぇ...」

「え?」



近かった顔が一瞬離れ、解放されると思ったら、沖田さんの顔は首元へ



「ちょ...ま、...っン」

「...虫除けでさァ....」

「....っ!」



高杉に付けられたキスマークのところに沖田さんは上乗せするようにキスマークを残した。見てないけどきっとそう...高杉に付けられた時と同じ痛みだったし、長かった。



ってか、外で何してくれてんだ、あのドS!










少年の心情、少女は知らず
(あいつ...無防備すぎでさァ)




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