「美咲ちゃん、なるちゃん、お願いがあるんだけど買い物行ってくれないかしら?」
「はーい」
午前中はあんなに晴れていたのに午後になってから突然どんよりとした曇り空になってきた江戸の空。
そんな中、洗濯物を取り込んでいた私と美咲は他の女中から買い物を言い渡された。
買い出しのメモには大きくマヨネーズと書かれていて、ムカつきすぎてメモ紙を握りつぶした。
まじで、パトカーあるなら自分で買い出しに言って欲しい土方さん。
「なるちゃん雨降る前に早く行こ」
「美咲そのまま帰っていいよ、買い物終わったら」
「え、でも···」
「雨もそうだけど、なんか面倒臭いこと起こりそうだし···」
そう、面倒臭いことが起きそうなのだ。それも厄介な···
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「美咲気をつけて帰ってねー!」
「なるちゃんも···っ!なるちゃん!!」
大江戸スーパーで買い物を終えて私は両手に荷物を持って美咲と別れようとしたとき、美咲が私を見て、じゃない···私の後ろを見て私の名前を呼んだ。
「え?」
私が後ろを振り返ろうとした時には遅く、きっと、攘夷志士であろう浪士に変な布を口元に当てられてしまった。
これってよくコ○ンでみるやつ···
薄れゆく意識の中、他の浪士が美咲に襲いかかろうとしたとき、私は買い出しで買ったマヨネーズをこれでもかって、ぐらい投げつけた。
「美咲!逃げて!!」
マヨネーズが命中した浪士は倒れていって、美咲が逃げ切れる隙ができた。
美咲が逃げたのを確認して私は意識を手放した。
きっと美咲が真選組のみんなに伝えてくれるはず。
私が目を覚ますとドラマとかでよくみる廃墟。
やっぱ廃墟なんですね、なんとなく分かってました。
「よぉ目が覚めたか?」
「早くお家に返してくれませんか?お布団で寝たいです。お願いします」
「お前が真選組の女中だということは分かっている。奴らの弱点を教えろ」
「知らないですけど」
私捕まえる暇あったら、真選組の誰か襲えよ。
「使えねぇな。もう1人の女だったら俺らの相手して貰おうと思ったのになぁあ!」
もう1人って美咲だよね??
え??私はそういう対象ではないってこと??
ん??
それはそれでムカつく。
「まぁあんたも悪くねぇけどな、でもなぁあ」
「1人でやってろよ」
下世話な会話、ほんと美咲がいなくてよかった。
「親分、こいつどうしやすか?」
「一応人質として、捕まえとくか」
あー反吐が出る。
まじでムカつく。
私が何も言わなくなったらこいつらは真選組の悪口ばっか。
たしかにチンピラ警察と言われているけどあの人たちは何だかんだ仲間思いだ。
1度信頼を置いた人には憎まれ口叩いても、全力で助ける。
私にその信頼関係があるかは謎だけど。
美咲無事に逃げれたかな?
まぁきっとマヨネーズ帰ってきてない時点で土方さんが癇癪起こして私の事探し回すだろうし···あ···マヨネーズ···。
ほんとごめんお前に罪はない。
「おい、奴らのお出ましだぞ」
鳴り響くサイレン音
来たんだ···
「おい、女」
そう言われ顔を声がした方に向けると、
「...っ!」
抵抗すらしてないのになんで私腕に刀刺されたの??
まじでこいつら死ね!!!
前歯折れて、隙間ありまくりの姿で死ね!!!
「今からお嬢ちゃんは真選組の前にご登場だからな···痛めつけてやらねぇと」
「息くさいんで近づかないで貰ってもいいですか?」
「んだと!クソアマァア!!」
だって本当の事なんだもん。
だいたいなんで私がこんな目に会わないと行けないの、ほんと隊士にしろよ。
弱虫かよ、ほんと死ね!!!
蹴られた場所も殴られた場所も違う。
「いやぁでもあの美人だったらこんな事出来なかったなぁ」
「それはわかる。ちょっと着物肌蹴させるぐらいかな」
美人と平凡の扱いの差なに??
お前らなんかブサイクだし、臭いし、気持ち悪いんだから、女顔で選んでんじゃねぇよ。
「立ていくぞ」
お前らが暴行したせいで力入らないんですけど、死ね!!!
「真選組の諸君!君たちの女中は預かっている。我等イキクサイ党の仲間を解放しろ!解放しないというのなら、この女この傷だけじゃ済まないぞ!!」
「っ!なるちゃん!!」
外は雨が降っていた。
この雨が止まないと、いい事起きないよなぁあ。知らんけど···
「その要求は飲めねぇがその女を離してやってくれねぇか?」
「は、離すわけないではないか」
「おーい、そいつは危険ですぜィ。なんの価値もない町人Bでさァ」
「とんだ言われようだな」
仕方ない。突然こっちの世界にやってきて素性も分からないまま、近藤さんのご厚意で住み込みとして女中やらせて貰ってるだけだし。
「ハハ!!お前らがそう言うならこの女今から殺してやる!!!真選組は一般庶民も守れない無能な幕府の犬だと!!」
「ねぇおっさん、さっきから息くさいって言ってんじゃん!!」
私は刀を首元に添えている浪士の足を、指を全体重乗せて踏んだ。
「っ!!この女!!!」
真選組の目の前で死ぬのは真っ平御免被るわ!
私は刀を振りかざしてくる浪士を避け、柵を勢いよく飛び越えた。その柵がわたしの腰ぐらいでそれも柵の下はそのまま地面。
そう、私たちは廃墟ビルの5階ぐらいにいたのだ。
ざまぁみろイキクサイ党
「今だ!!!かかれ!!!!」
私が浪士たちからの手を逃れた瞬間近藤さんの指揮をとは声が聞こえた。
迷惑かけてゴメンなさいって言えずに私は地面に叩きつけられるだろう。
そう覚悟して目を瞑ったら少し弾力のある布に包まれた感触。
「局長!!なるちゃん無事に救出出来ました!!」
「よくやった!!」
え??
助けられた?
「大丈夫かィ?」
「お、沖田、沖田さんっ...」
「おめぇ泣くと更に不細工になるから泣くな」
「だ、だって、本当は死ぬって思ったし何より刺された所も殴られた所も蹴られたところもずっと痛くて」
「安心しな、もうおめぇは大丈夫でィ」
沖田さんは私の頭に手を乗せそう言って敵陣に突入して行ったのである。
美人と平凡の格差社会
(···すご)(総悟が1番心配してたぞ)(そんなバナナ)