01







★月島/彼女/裏注意







『うわ、降ってきたね!』
『ウチもうすぐだから、走って』
『え、あ…月島くん…!』

帰り道。
急に降り出した雨。

―彼に引かれた手が、熱い。









『上がって』
『え、でも私濡れてるから…』
『…待ってて』

急に降り出した雨は強さを増し、ほんの数十メートルの距離でもずぶ濡れになってしまった。
制服は勿論、髪からぽたぽたと雫が滴る。
ああ、玄関に水溜まりが出来てしまっている。

待ってて、と言った月島君は奥からタオルを持って出てきて、一つを私に投げた。
拭きなよと言われてお言葉に甘えることにする。
顔に当てるとふわりといい匂い。
月島君のにおいがする…。


『はい、これ』
『えっ』
『僕の服だから大きいけど。…とりあえず制服乾燥機にかけなよ』
『え…』

手渡された服と、彼とを交互に見る。
更に風邪引くよとまで言われて耳を疑った。


『月島君が優しい…!』
『何ならここで僕が脱がしてあげようか?』
『ごめんなさい!』

危ない危ない!
笑顔で怒る月島君は一番怖い。

案内された場所は脱衣所で、そこで制服を脱いだ。月島君の家で服を脱いでるのにドキドキして、月島君の服に袖を通して更にドキドキ。

服はぶかぶかで、多分これ半ズボンだけど七分丈みたいになってしまってる。
改めて身長差と言うか体格差を感じた。

『(部活じゃ月島君一番細いからなぁ…)』

ほけっと鏡を見つめてたらノックされて心臓が跳ねる。
不機嫌そうな声色でまだ?と訊かれ慌てて返事をした。

『あ、ごめん!大丈夫!』
『着替えるのにどれだけかかるの』
『う、だって…』

肩をずり落ちる服を押さえて見上げると、月島君は目を丸くさせた後ふっと逸らし眼鏡を押し上げた。


『制服は?』
『あ、』
『入れて。とりあえず乾かそう』
『うん、ありがとう…』


脱いだ制服を入れてスイッチを入れる。カラカラと回り出した乾燥機を確認すると月島君は私の手を引いて二階へと向かった。


『月島君?』
『僕の部屋。入って』
『あ、えっと…お邪魔します、』


多分、万が一お家の人が帰ってきた時の事を考えての、彼の配慮だろうけれど。
まさかこんな形で彼の家に、部屋に入ることになるだなんて思っても見なかった。

『(月島君の、部屋…!)』
『ちょっと、あんまじろじろ見ないでよ』
『え?うん、月島君恐竜好きなの?』
『…見ないでってば』

ぺちんとおでこを叩かれた。
思いの外痛かった。

部屋はすごく綺麗に片づいていて、机にはいつものヘッドホンが置いてある。
そう言えば今日は雨だったから付けてなかったなぁなんて、ぼんやりと考えて。

『…名前、』
『ごめん、でもちょっと意外と言うか…。私の知らない所、まだいっぱいなんだなって…』
『へぇ?』

頭上に影が差す。見上げれば後ろから抱きしめられた様で、冷えた身体に彼の体温がじんわりと伝わってきた。。
もっと知りたい、そう言えば綺麗に笑う月島君が距離を縮める。
ちゅ、
可愛らしいリップノイズをさせて唇が触れ合った。



『知りたい?』
『…しり、たい…』
『素直だね、今日は』
『ん…』

頬に添えられた手に上を向くよう促され、月島君が身体を屈める。
背が低くてごめんね、と気持ち背を伸ばしてつま先立ちして。
唇が重なると、月島君の手が背中に回って抱きしめられた。
そのまま軽く唇を啄みながら、彼の手はズボンに触れて下へと下ろして。すとん、と脱げたそれに戸惑いを隠せない。

『…!』
『…下着も脱いじゃえば良かったね?』

ズボンを下げられ驚く私に、クスクス笑いながら月島君が言った。





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