黄色い花と思い出と。 ※男主/イナクロ黄名子夢 化身持ちの部員でマインドコントロール されずにタイムジャンプしている設定。 『苗字せんぱーい』 可愛い声がした。 後ろを振り向くと同時に腹に何か当たる。 下を見れば、黄色いヘアバンドの女の子。 『菜花…』 『一緒に部活行こ!』 『あぁ…』 ニコリと笑う彼女は、この間信長の時代から帰ってきた時に生まれたタイムパラドックスなるものらしい。 ベタベタされるのは未だに馴れない。 と、言うのも…どう言う訳かこの世界でコイツと俺は付き合ってるらしかった。 大慌てする俺に対して、タイムジャンプしていた以外のメンバーはすごく怪訝な顔をして。 最終的にはフェイに「またパラドックスが起きるかもしれないから適当に流して」と言われてしまう始末。 で、フェイが調べてくれてる間は適当に"お付き合い"をしている訳だが。 『そしたら剣城がねー』 『うんうんそっかー』 俺の知らないこの女の子は、俺の知らない顔をして、俺の知らない過去を話す。 怖いとか気持ち悪いとかは思わないけれど、何だか不思議な感じは抜けない。 (雨宮とも仲良かったし) (俺アイツとも仲良いんだけどな…) 『…』 『どした?』 不意に黙り込んだ菜花に数歩先を行く俺が振り返ると、餅みたいなほっぺたを餅みたいに膨らませて俯いていた。 『(げっ、…)』 『帰ってきてから、苗字先輩冷たいやんね…』 『え』 やばい。 もう少し気を付けるべきだった。 菜花は今にも泣きそうだ。 『やっぱり、ウチの事…っ嫌いに、』 『あああーじゃないじゃない!菜花は可愛いよ!』 『答えになってないやんね』 『う、』 ずっ、と鼻を鳴らす菜花にたじろぐと、やっぱり俯いて。 控えめに制服の裾を掴まれた。 『悪い、』 『っ、』 『タイムジャンプしてたからまだ混乱してるんだ』 『苗字先輩…』 『菜花の事は可愛いと思うよ。けど、俺には菜花と過ごした今までの記憶が…曖昧、なんだ』 少し言葉を濁したが…正直、帰ってきていきなり、彼女ですと言われてハイそうですかといちゃつく程、俺も簡単じゃない。 頭堅いかなとは思ったけど…そんな問題でもないと思うんだよな。 何より菜花に失礼だ。 『菜花だって嫌だろ?なあなあに形だけとか』 『…う、ん…』 こくりと頷いた菜花。 どうやら分かってくれたらしくて安心する。 『じゃ、部活行こうか』 『苗字先輩』 『うん?』 『これから、新しく思い出作るのも有りかな?』 ああ、ああ。 そんな悲しそうな顔をするなよ。 お前自分が可愛いって自覚ないのか? 『うん。有り、だと思う…』 『!』 ぱぁっと笑顔になって俺に抱きつく菜花は。 うん、何度も言うが可愛い。 違う世界で惚れちゃった俺の気持ちが分からんでもない。 『部活行くやんね!』 『引っ付くなって…』 さながら、小動物みたいだ。 end 黄名子可愛いよたまらん(*´д`*) 長編しようかと思ったけど思いとどまったもの。黄名子切なくて…最後彼女どうなってしまうんでしょうね幸せになって欲しいな(´・ω・`) prev / next
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