錦君頑張る!





『名前ッす、好きぜよ!結婚してくれ!!』
『ご、ごめんなさいッ』


真っ赤になって逃げる名前と、ショックで固まる錦と。
二人を見て、アタシ―瀬戸水鳥はため息を吐いた。








『何が…何がいかんかったぜよ!?』
『結婚?』
『紛れもなく結婚』
『TPO』
『重い』
『ちゅーか結婚て』
『結婚』
『全て』
『う、おぉぉ‥!』

涙ながら、錦は床に伏した。
部活の皆にだめ出しをされて落ち込む様は、試合の時とは考えられないくらい情けなかった。
まぁもう見慣れたけど。

錦龍馬はアタシの幼馴染み、名前に恋してる。
イタリアから帰ってきて、要らん求愛法を身につけたらしい錦は、こうして毎日名前にアタックしている。
バカなのは昔からだけど、名前は極度の恥ずかしがり屋だからそんなバカ正直に真正面から来られたら、ああなるのは分かり切っているだろ。

まぁ名前は名前で錦がイタリアに留学するってなった時に、ショック受けてウジウジするくらいコイツの事が好きだったから…脈が全くない訳じゃない。
てか、寧ろあるから嬉し恥ずかしってヤツ。


『もっとこう…ムードとか考えろよ』
『倉間がムードて!』
『うっせぇそーゆー担当(南沢さん)が居ねーから、俺が代わりに言ってやったんだよ』
『でも確かに…錦、場所と雰囲気は大切だと思う』
『神童…』
『せめて2人っきりになるとか』
『ふ、2人っきり…』
『ちゅーか、部活の皆が居るときはないっしょ』
『きっと彼女、恥ずかしいですよぅ…』


皆、錦…と言うより名前の為を思って、アドバイスをしてくれてる。
いやま、錦が散々だからだけど。
(普段疎い浜野が言うくらいに散々)


『名前は…』

錦が俯いて口を開いた。
いつもより数段情けない顔をして。

『名前は、ワシの事がきら…嫌いなんじゃろか…』
『そうじゃね?』
『おい浜野ォォォ!』
『お前余計な事言うな!』


えぇい女々しいわ!と、いつもなら叩いてる所なんだけど。
浜野の言葉に本気で落ち込むもんだから、喝も入れられない。
代わりに浜野を殴っといた。これ以上話を拗らせないでもらいたい。


『はぁ、しかたねーな…』

ここらでアタシが一肌脱ぐか。

『錦、』
『み、水鳥…』
『アンタ、今日名前を送ってやれ』
『は!?』
『アタシは今日用事が出来たことにするから、アンタが名前を家まで送るの!』
『ワシが、』
『アンタが』
『名前を送る…』
『そーだよ!』

家までだぞ、分かったか?と訪ねれば、真っ赤になりながら頷いた。
アンタが赤面するとは…正直思わなかったわ。

『案外アッサリ2人っきりシチュが出来たな』
『良いかオマエ等、邪魔すんじゃねーぞ!』
『お前じゃねーんだから大丈夫だっての』
『んだと倉間!』
『とりあえず、ウズウズしてる浜野は覗き見しないように押さえとけよ速水?』
『お、俺ですかぁー!?』

霧野に言われてうなだれる速水。
確かに、浜野は大変そうだよな…操るの。

『皆…忝ない…!』
『錦…』
『ワシ、頑張るぜよ…!』

凛として顔を上げた錦はいつもみたいに少し格好良かった。







しかしその後、錦が名前の元へ寄るとき緊張でガチガチに固まった挙げ句言葉も噛み噛みで手と足とが同時に出ているのを見て、みんなでため息を吐いたのは、二人には内緒だ。




end




錦って難しいですねorz

イタリア人に『かわいこちゃんを見つけたら?ちゅっちゅっあもーれお茶いかないかい?』で決まりだね☆とか適当な事を吹き込まれたシャイボーイ錦。
好きじゃ好きじゃととりあえずアタックするも、シャイガールヒロインに断られて落ち込む…そんな錦だったら可愛いな。←
偽土佐弁サーセンした/(^p^)\アヒャー

しかし、錦は師匠の噛ませっぷりを継いでるですね、立派に(笑)





そしてオマケの恋の行方↓↓




『名前っ、』
『は、はい…?』
『すっすすすすす』
『巣?』
『好き、じゃ…』
『は、い…』
『ワシと…付き合うて、欲しい…』
『はい…』
『…』
『…』
『…』
『…?…あ、の…錦君?』
『な、なんぜよ!?』
『返事…したんだけど…』
『へ!?』
『えっと、あの…私で…良いのかな?』
『名前が…良い、ぜよ』


そう言うと名前に手を握られて。
にっこり笑う名前の頬がほんのりピンクに染まった。
彼女以上に赤くなるワシは…なんて情けないんだろうと、恥ずかしくて俯いた。


おわり。




そして次の日浜野にからかわれる錦。
閲覧ありがとうございました(^O^)

吹雪猫


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