浜野くんと休み時間






▼浜野

『名前、あのさ…』
『浜野、もう黙って…?』
『いや、あのさぁ?コレは俺の理想じゃないっちゅーか』
『…しらない』
『ちょ、駄目だって』
『じゃあ辞める?』


名前が俺の上で笑った。
そんな訊き方、ズルいっしょ。










『名前っ!ちゅー!』
『…』

例の如く、俺は名前に詰め寄った。
名前はサラリとかわしてジト…と俺を見る。

『何で避けるんだよ』
『何か…慣れ?的な?』
『えー』
『浜野ワンパターン過ぎ。飽きた』
『っ、』

名前の冷ややかな言葉に、少なからず俺はショックを受けた。
だって飽きた、って。

『だってムード無いんだもん』
『ちゅーか、ムードって何よ』

名前はうーん、と考えた後、そうだと何か思いついたらしく笑って。
俺に詰め寄ると顔を近付けてきた。
勿論俺は咄嗟の事に対応出来なくて身を引く。
くりくりした名前の瞳が俺を捕らえて。

『えー、っと…名前?』
『海士、』
『っ!!』
『かいじ…』


近づいた唇は口をスルーして耳元へ向かい、まさかの名前呼びに心臓が跳ねた。
初めて名前で呼ばれた気がする…。

『名前っ』
『だーめ、』

そうかコレがムード、か!
と名前に向き直れば、俺の唇には名前の指が当てられてキスを阻止された。


『名前〜』
『もぉ、黙って』

のし、と名前が俺を押し倒して見下ろす。
え、えーマジで?俺が受けんの??
ソレは些か不本意っちゅーか。


『…じゃあ、辞める?』
『その言い方は卑怯っしょ、』

名前が嬉しそうに笑って鼻先に口付けた。次に瞼、耳、に。ちゅ、とリップノイズがダイレクトに届いて、背中にゾクゾクと旋律が走る。

『名前っ』
『ん…』

トロリとした瞳が俺を見つめた。
視線を絡ませたら、名前は満足そうに笑う。

上半身を起こして、名前の頬を包みゆっくり、顔を近付ければ。
名前はゆっくり目を閉じた。

待ちに待った名前の唇は想像以上に柔らかくて。
その柔らかさを確かめる為に啄んだら、名前は薄く口を開けた。


『名前…』
『か、いじ…?』
『ね、コレ初めて?』

ちょい俺もハズいけど。
名前が目をトロトロと細めながらちよびっと出した赤い舌先を、舐めてみた。
ぬる、ってする中で、お互いの舌のザラザラ感が気持ちいい。

『ん…』
『は…名前…』
『かいじが、はじめて…』
『マジで?』
『んっも、だめ…』
『もーちょい…したい』

ちゅぷちゅぷと粘着質な音が室内に響く。
びくん、びくん、と名前は震えて…ちょー可愛い。

『も、いーかげんに…っ』
『オアズケ食らった分、』
『っ、』

俺の胸をぐいぐい押して離れようとする名前。
そんな彼女に、甘く甘く囁けば。


『俺にもちょーだいよ、名前…』
『ん、もぉ…っ』


腕は首に回った。







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トリオシリーズ3。
浜野オアズケされすぎな件。

とりあえずシリーズ終わり。
閲覧ありがとうございました!



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