倉間君と昼休み






『その内3人にあげるね』

名前の爆弾発言から早3日が過ぎようとしていた。





▼倉間くん


『も、馬鹿浜野離れろ』
『なんで!?俺は名前とキスしたいだけなんだってば!』

ね、ほら、と尖らせた唇を近付ける浜野に対し、名前は心底嫌そうにして。


『今キスしたくない』
『じゃぁ何時になったらしたくなるんだよ!?』
『ムードを考えてよ!』


ばかっ。
って、浜野を押しのけた。
このやりとりも、3日目である。






『とんだピエロだぜ…って言ってたぞ、浜野』
『え、何その不明なはーどぼいるどキャラ』
『お前ハードボイルド意味分かってねーだろ』


呆れて俺は寝返りを打った。
仰向けになると名前の顔が見える。
頭の下には名前の柔らかい太ももが。
所謂"膝枕"と言うやつで。

動くとくすぐったいのか名前は身を捩った。


『何で浜野にキスしてやんねーんだよ』
『だって浜野、ムード皆無』
『…速水はしたのに、か』
『あの時は、何て言うか』

放課後で、教室には誰も居なくて、二人できゃいきゃい言いながら倉間達を待っていて。
速水がどきどきしながら、私に聞いたの。

"名前のファーストキスはどんなでした?"って。



──なるほど、なかなかマンガなんかで有りそうなシーンだ。
名前は嬉しそうに笑った。

『だからキスしたの、速水可愛かった』
『あ、そ…』

ふふふ、と笑いながら語る名前。
なるほどそーゆーのが名前の言うムードなるものなら、俺なら簡単にできるかもしれない。

『名前…』
『く、らま…?』

そろ、っと親指で名前の口唇を撫でた。
ぴくりと震える肩。


『じゃあ、さ』
『ん…』
『俺ともしよーぜ、キス』

ツヤツヤした唇を撫でる。
名前はトロンとして、でも残念そうに。


『セカンドキスは予約入ってますので』

と、浜野とのキス宣言をされた。
くそ、俺は三番手かよ。


『そんな怒んないでよ』
『怒ってねーよ』

悔しいだけだ。
そう思ったら途端にこの唇が欲しくなった。
俺も案外簡単だな。

『名前…』
『ん?』
『名前』
『だからな、ん、』

投げやりに名前を呼んで、口を開いた名前のそこに未だ唇を撫でていた親指を突っ込んだ。
名前はビックリしたみたいで目を見開いてる。

『舐めて』
『ん…』
『エロい顔』


指先で舌を撫でたら名前は俺の手を握り、かり、と甘く噛んだ。
ちゅぷちゅぷ、と恥ずかしそうにしながらも、懸命にソレをしゃぶる姿に欲情したのは中学生男子自然の摂理だ。

『なぁ』
『ん…?』
『その指が、俺のだったらどんな風に舐めてる?』
『…』

はぁ、っと熱の籠もった息を吐き、名前は指先に口付けた。
瞬間、ドキリと心臓が跳ねて。

れろ、親指の付け根から先端にかけて舌を這わす。
どこでんな知識取り入れたんだか。
本当に処女なのか?
口付けを重ねる名前を見てそう考えを巡らせてたら



『自分で言った癖に恥ずかしそうにしないでよ』



と、笑われた。






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浜野涙目。





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